遣水 往時の姿へ 平泉・毛越寺浄土庭園 景石破損や漏水箇所修繕

毛越寺浄土庭園で進められている遣水の修繕工事。来月26日には5年ぶりに曲水の宴が催される

 国の特別史跡・特別名勝の二重指定を受けている平泉町の毛越寺(藤里明久貫主)浄土庭園で、遣水(やりみず)の修繕が進められている。1986年の復元から30年以上がたち、景石の破損や漏水が目立ってきたことに伴う調査を兼ねた工事で、5月末には平安時代の姿を取り戻した遣水を舞台に、往時の古式ゆかしい歌遊びとなる「曲水(ごくすい)の宴」が5年ぶりに催される。

 遣水は、園池に水を引き込むための水路で、同寺では83年の発掘調査で大泉が池北東岸から全長約80メートルの遺構が12世紀当時そのままの形で出土。緩やかに蛇行する流れが多彩に変化して池へと達する姿は、庭園整備の意匠や技術を知る上でも極めて貴重なことから復元整備し、公開されてきた。

 今回の修繕箇所は最北端の約10メートル区間。高所から石組みの間を水が激しく流れ落ちる部分でもあり、経年による水路の浸食により一部で漏水などが発生しているため、3月25日から工事が始まった。

© 岩手日日新聞社