名のある大企業より「隠れ優良企業」を選ぶZ世代 「大手はブラックなことが多いから」

Z世代を対象としたある調査では、「給与や福利厚生は平均的だが、名前が広く知られている大手企業」と「給与や福利厚生が平均よりも高いが、名前はあまり知られていない隠れ優良企業」のどちらに行きたいか尋ねたという。

その結果、後者を選んだ人が58%と多数派に。回答の内訳は「絶対に隠れ優良企業」が11%で、「どちらかというと隠れ優良企業」の47%。「絶対に大手企業」が14%で、「どちらかというと大手企業」が28%。Z世代は名より実を取るようだ。

「SNSの影響でしょうか、みなさんよく知っていますよね」

この調査は、Z世代に特化したクイックリサーチサービス「サークルアップ」によるもの。「隠れ優良企業」に行きたい理由を尋ねたところ、自由回答には以下のようなコメントが寄せられたという。

・大手などの枠組みにとらわれずに自分にあった企業を探したいから。
・名が知れてなくても福利厚生が充実している方が満足感を得られるから。
・大手はブラックなことが多いから。

都内人材サービス会社でZ世代の就職・転職を支援しているAさんは、この結果を

「有名ブランドより実質的な経済価値を優先するところは、コスパ重視のZ世代らしい」

と評し、長年続いた有名企業志向の潮目が変わったことが感慨深いという。

「Z世代は好景気を知らないと言われますが、実は一定以上の豊かさが実現した社会に生まれ育っています。本当の貧しさの経験やコンプレックス、それに起因するハングリーさはないと感じています。豊かさへの強い憧れを持った人たちが、見栄や外聞を重視する時代は終わったのでしょうね」

また、Aさんが驚いたのは「大手はブラックなことが多い」という認識を持っているZ世代がいることだ。

「超大手企業は、民間といえども実質的に国の官僚組織の続きのようなもの。失敗を認めない『無謬性の原則』があり、目的の前には従業員の人間性や個性を軽視する傾向があります。Z世代はそういう世界が嫌いなので、忌避しているのでしょう。しかしSNSの影響でしょうか、みなさんよく知っていますよね」

年功序列が嫌なら「グロース市場」を狙っては?

それでは「隠れ優良企業」とはどうやって探せばいいのだろうか。Aさんは時間のある人は「就活サイト」ではなく、東証の「上場企業のリスト」から探してみてはと提案する。

「非上場でもいい会社はありますが、上場企業の方がガバナンスが効いているはずですので、あまりにもひどい会社に当たる確率は低くなると思います」

東証には上場基準の高い順に「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」があり、上場企業は2024年2月末時点で3800社あまりにのぼる。

「まずはプライム市場(計1657社)の上位500社の指標に組み込まれている大企業は、いわゆる超大手有名企業。キャリア志向の強い有名大卒以外の人は、背伸びして志望する必要はありません。隠れ優良企業志向のZ世代は、対象から除外していいでしょう」

スタンダード市場(計1611社)には旧東証二部上場企業など、長年上場しているものの成長性に乏しく、プライム市場に上がれない会社もたくさん並んでいる。

「まったりした昭和の風情を残した古い専門商社みたいな会社がたくさんあるので、肌に合う人にはいいと思います。同族経営で社長が高齢になっている会社はおすすめできませんが、代替わりで若手社長になり新しく生まれ変わろうとしている会社は狙い目かもしれません」

グロース市場(計563社)には近年上場した成長企業が比較的多く、IT系に強い傾向にある。

「年功序列などの不合理な社風が嫌なZ世代には、このあたりが合うような気がします。ペーパーレス・ハンコレスやフルフレックス、リモートワークの会社を探すなら、グロース市場から探してみてはいかがでしょうか」

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