『オードリーANN』の圧倒的強さが浮き彫りに 2023年Radikoランキング発表

5日、ラジオアプリ「ラジコ」を運営する株式会社radikoが、2023年に多く聴かれたラジオ番組と楽曲を振り返る年間ランキングを発表している。

同ランキングでは、在京、在阪、中部それぞれの地域での「1番聴かれたラジオ番組」に加えて、20代、30代、40代、50代の世代・男女別のランキングと、「ラジコで聴かれた楽曲ランキング」が発表されている。

その中で、やはり圧倒的な強さを見せたのが土曜深夜に放送されている『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)だった。

『オードリーANN』はすべての番組を対象とした在京のランキングで、プロ野球のナイター中継である『ショウアップナイター』(同)に次ぐ2位にランクイン。主婦層から圧倒的な支持を受ける『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)を抑えての2位は価値ある結果といえるだろう。在京トップ10のうち深夜番組は『オードリーANN』のみで、『ショウアップナイター』以外の残りの8番組はすべて朝~昼の時間帯である。

15周年を迎えた『オードリーANN』は今年2月には東京ドームで番組イベントを開催。5万3,000人を集めたほか、ライブビューイングと配信を合わせて計16万人を動員して大きな話題を呼んだが、改めてその人気ぶりが浮き彫りになった形だ。

そのリスナーの年齢層も広く、『オードリーANN』は20代と30代男性で1位、40代男性でも2位につけ、女性では20代から40代で2位、50代でも7位に入っている。

事実上、お笑い関係のラジオは『オードリーANN』とそれ以外に分類されるといっても過言ではない突出ぶりである。

そのほか、このランキングからはどんなことが読み取れるだろうか。

■バナナマンvs霜降り明星の熾烈な争い

現在、地上波の聴取率で熾烈な争いを演じているのが『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)と『JUNK バナナマンのバナナムーンGOLD』(TBSラジオ)が放送されている金曜25時枠だ。

長くバナナマンの天下だった同枠だが、昨年10月のスペシャルウイークで霜降りが初のトップを獲得。その後、同12月はまったくの同率、今年2月には再びバナナマンが逆転している。

『霜降りANN』は地上波とラジコのほかにPODCASTでも全編を配信しており視聴者が分散している現状でもあり、特に若年層では霜降りがリードしていると思われていたが、ラジコランキングでもその通りの結果が出ている。

20代男性では『霜降りANN』がオードリーに次ぐ2位、『バナナムーン』が4位となっており、30代では『バナナムーン』が4位にとどまっているところ、『霜降りANN』は圏外に姿を消している。

■パンサー向井、受け入れられている

TBSラジオの朝の帯枠『パンサー向井の#ふらっと』が全体の8位。30代と40代の女性でもトップ10入りを果たしている。

『#ふらっと』は22年4月クールにスタート。『大沢悠里のゆうゆうワイド』、『伊集院光とらじおと』というラジオ巨人たちからのバトンタッチであり、向井本人のプレッシャーは察するにあまりあるところだが、放送開始から2年を経てすっかり平日朝のラジオとして定着したといえそうだ。

■馬鹿力、カーボーイより佐久間さんなのか

19年4月にスタートし、6年目を迎えた『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』(ニッポン放送)が20代男子の5位、30代男子では3位に入っており、いずれも『JUNK 爆笑問題カーボーイ』『JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』(いずれもTBSラジオ)を上回っている。

テレビ東京の社員時代に番組が始まった当初は「トークよりブッキング力勝負」を公言し、劇団ひとりやテレビ朝日の加地倫三プロデューサー、千鳥、伊集院光といった深夜3時の番組らしからぬ豪華ゲストを立て続けに呼ぶなど必死さばかりが目立ったが、若年層を中心としたランキングでのランクインはまちがいなくトークの面白さを評価されてのもの。日本一しゃべれるスタッフの称号はもはやゆるぎないところだ。

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ラジコの出現で、ラジオを取り巻く状況は大きく変わった。各パーソナリティにも、時代に沿った生き残り戦略が必要になってきそうだ。

(文=新越谷ノリヲ)

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