富山県射水市に「新たな定数」を発見した中学3年生の女子生徒がいます。彼女のテーマは「紙風船」。だれもが遊びやすい紙風船のために、寝食を忘れるほど実験に打ち込み、その緻密さは理科の先生も驚きの声をあげるほど。そんな彼女が編み出したのは紙風船の「最適穴定数」です。
紙風船のユニークな研究を続けているのは、富山県射水市の中学3年生・後藤志歩さんです。
中学3年生・後藤志歩さん: 「市販のものが速すぎてお年寄りの方とかがあまり楽しめないのかなと思ったことがあって、誰にでも楽しめる紙風船を作りたいと思ったので、『ユニバーサル紙風船』づくりを行っています」
「ユニバーサル紙風船」とは、ゆっくり遠くに飛ぶ破れにくい紙風船で後藤さんが命名しました。
この研究を積み重ねてー。
後藤志歩さん: 「実験の結果から立方体の1辺の長さに対する穴の直径の比率を『最適穴定数』とし、0.067という定数を導き出しました」
「最適穴定数」で自由研究の最高峰に
2023年にまとめた自由研究では、最も飛距離と滞空時間が長くなる紙風船の1辺の長さと穴の大きさの比率を求め、「最適穴定数」という独自の値を導き出しました。
この研究は、自由研究の最高峰のコンクール「日本学生科学賞」で、最終審査の20人に選ばれ入選1等に輝きました。
この研究を支えるのが「紙風船打撃装置」。後藤さんが独自で開発した実験装置で、ホームセンターで買ってきた部品を組み合わせて作っています。
狙いは、紙風船を同じ条件で飛ばすこと。
後藤さんは、この打撃装置を使い、まず、辺の長さを変えた10種類の紙風船の実験を行い、「1辺12センチ」が最もよく飛ぶことを確認。
次は、「1辺12センチ」で、穴の大きさが違う紙風船を作り実験を繰り返しました。
後藤志歩さん: 「紙風船1個に10回ぐらい繰り返しているので、数えきれないぐらいやってます」
地道な実験と試行錯誤の末に導き出したのが、1辺の長さ12センチに対し、穴の大きさ0.8センチという理想的な比率「最適穴定数」です。
後藤さんの研究について、理科を担当する高田武志教諭は。
高田武志教諭: 「見た瞬間にすごい作品だなと。緻密に実験を計画しているところ、継続して実験を積み重ねて、それをしっかり科学的に処理しているところが大変すばらしいなと思っています」
後藤さんは、小学校の頃は毎年違うテーマで自由研究をしてきましたが、小学6年生で紙風船に出会ってからは、打撃装置の改良を重ねながら毎日紙風船の研究を深めています。
後藤志歩さん: 「ひとつのことを続ける継続力の大切さを実感しました。ユニバーサル紙風船づくりの研究はどんどん謎が出てくるので、その謎を一つ一つ解いていくのが楽しいです」
おじいちゃんおばあちゃんも、子どもたちも、障害のある人も、みんなが楽しめる理想の紙風船を目指してこれからも研究を極めていきます。