新作ドラマではどう描かれる? “成長性A”恐るべし…『ジョジョ』露伴の「ヘブンズ・ドアー」の成長がチートすぎる

『岸辺露伴は動かない』(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・岸辺露伴は動かない製作委員会

NHKの人気ドラマ『岸辺露伴は動かない』の新作エピソードが5月に放送されることが決まった。本ドラマは荒木飛呂彦さんによる『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフにあたる同タイトルの漫画を原作とした実写化作品で、主人公・岸辺露伴を高橋一生さんが演じ、世界観の見事な再現度から原作ファンを中心に支持を集めている。

露伴は日本一の漫画家でありながら、スタンド「ヘブンズ・ドアー」を持つスタンド使いでもある。人を本にしてそれまでの人生や考えを読む「ヘブンズ・ドアー」はそれだけで強力なスタンドだが、真に恐ろしいのはその伸びしろだ。

『ジョジョ第4部』で初登場した「ヘブンズ・ドアー」は、作中どんどん強くなり、今や『ジョジョ』シリーズ指折りのスタンドに成長した。今回は露伴のスタンド「ヘブンズ・ドアー」の成長を振り返り、そのチートっぷりを見ていこう。

■漫画を「面白い」と思われないと発動しなかった第4部初期

露伴の初登場は、東方仗助が杜王町に潜む悪と戦う第4部「ダイヤモンドは砕けない」だ。このときの露伴は「ヘブンズ・ドアー」の力で人々の人生から漫画のネタになる出来事を奪う敵役だった。

当時の「ヘブンズ・ドアー」も、人を本にすることでその人のすべてを読めたのは変わらない。すでに非常に強力な能力だったが、そのぶん発動条件も厳しかった。

・本にしたい対象に露伴が描いた漫画や絵を見せる
・対象が露伴の漫画を「面白い」と思うほどに露伴と波長が合っている

以上の2つを満たさなければ「ヘブンズ・ドアー」は使えない。初登場エピソード「漫画家のうちへ遊びに行こう」では、その弱点を突かれて仗助に大ケガを負わされ、連載を休載するハメになった。

この時点では「強力だが使用制限があるスタンド」程度だったのだが……。

■スタンド体が触れるだけでOKになった第4部後期

スタンドには伸びしろを示す“成長性”というステータスがあり「ヘブンズ・ドアー」は最高の“A”に設定されている。そのせいか、第4部のなかで「ヘブンズ・ドアー」は急激に進化していく。

当初は存在しなかったスタンド体がいつしか発現するようになり、漫画を見せなくてもスタンド体が対象に触れれば能力が発動するお手軽仕様に。「露伴の漫画を面白いと思う相手」という縛りもいつの間にかなくなり、事実上、無制限に人を本にできるトンデモ能力へと成長したのだ。

しかも「ヘブンズ・ドアー」によって本にされた相手は、その瞬間に気絶してしまう。触れられただけで負けがほぼ確定するのだから、戦闘能力としても強すぎる。「露伴が殺人鬼でなく漫画家でよかった…」そう思うばかりだ。

■フライドチキンの賞味期限も「読める」ようになった『岸辺露伴は動かない』

ここまででチートじみた能力に育っている「ヘブンズ・ドアー」だが、第4部時点ではまだ弱点があった。意思を持つ人間やスタンドにしか使えないという点だ。
「人を本にする」特性を考えれば当然なのだが、後年のスピンオフ漫画『岸辺露伴は動かない』(集英社)では、その縛りすら超越する。

単行本第2巻に収録されている「月曜日 天気-雨」は、露伴がフライドチキンと思しき料理を見つめるシーンからはじまる。チキンをまじまじと見つめたり匂いを嗅いだりしたあと、露伴はなんと「ヘブンズ・ドアー」をチキンに使う。

するとチキンの表面が本のページと化し「賞味期限切れまで 残り 0h.17min.」と標示されたのだ! 本来は人の過去や思考を読むための「ヘブンズ・ドアー」が死んだ鶏肉に通用するだけで驚きなのに、本人(本鶏?)すら知りえない賞味期限を暴き出すとは、成長ぶりがすさまじい。

ちなみにこのときの露伴は自然体で、特別なことをした様子はない。彼はいつもこうやって食材の賞味期限を調べているのだろうか? 正直、とても羨ましい。

■ゲスト出演なのに存在感抜群!『The JOJOLands』

月刊誌『ウルトラジャンプ』(集英社)で好評連載中のジョジョ第9部『The JOJOLands』。大富豪をめざす少年、ジョディオ・ジョースターが野望のために戦いに飛び込むストーリーなのだが、その第2話で露伴がゲスト出演し、大きな話題を呼んだ。

とある事情でハワイを訪れた露伴は、自分の別荘に侵入した3人の強盗と鉢合わせになる。この強盗たちは露伴が持つダイヤを狙ったジョディオの仲間であり、全員がスタンド使い。3対1は圧倒的に不利な状況だ。

しかし、露伴は触っただけで発動する「ヘブンズ・ドアー」を駆使して3人の強盗を瞬く間に制圧する。それどころか本にした相手から目的や経緯といった情報を奪い、スタンド使いとしての格の違いを見せつける。予想外の無双に、筆者を含む従来の『ジョジョ』ファンは大いに沸きたった。

なお「第9部の露伴は第4部の露伴とは別人ではないか?」という考察もあり、同一人物とは言い切れない。ただ、一介の漫画家が3人のスタンド使いを制圧する「ヘブンズ・ドアー」のチートっぷりに、疑いの余地はないだろう。

露伴は第5話で「また会おう きっとな」と再登場をほのめかしている。次に現れたときは、もっと強くなっているかもしれない。

5月に放送予定のドラマ『岸辺露伴は動かない』新作エピソードのタイトルは「密漁海岸」と告知された。漫画版にもあるエピソードで、露伴が「ヘブンズ・ドアー」を使うシーンも描かれている。

はたしてドラマ版でも「ヘブンズ・ドアー」は使われ、そのチートじみた能力は発揮されるだろうか? TVドラマとしては約1年半ぶりとなる新作『岸辺露伴は動かない』を心待ちにしたい。

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