ENEOSとのSFに先勝したデンソーの髙田真希がコメント…「もう1つ勝たないと意味がありません」

4月6日、「京王 presents Wリーグプレーオフ 2023-2024」のセミファイナル第1戦が武蔵野の森総合スポーツプラザで行われ、デンソーアイリス(レギュラーシーズン2位)がENEOSサンフラワーズ(同3位)と対戦した。

昨シーズンのプレーオフでもセミファイナルで顔を合わせた両チーム。このときは2連勝でENEOSが勝利し、その後のファイナルではトヨタ自動車アンテロープスを2勝1敗で退け、4年ぶり17回目の優勝(日本リーグを含めると23回目の優勝)を果たした。

今シーズンの対戦はレギュラーシーズンでは1勝1敗のタイながらも、昨年の12月17日に行われた皇后杯決勝では89−56でデンソーが勝利。このプレーオフで2冠を狙うデンソーとリーグ2連覇を目指すENEOSのカードということで、試合前から注目を集めた。

試合は意外な展開を見せたと言っていいだろう。ティップオフ直後のつばぜり合いを終えると、ペースを握ったのはデンソーだった。ENEOSの三田七南に2本連続、さらに岡本彩也花に3ポイントシュートを決められたものの、それから約4分間を無得点に抑えると、その間に本川紗奈生、木村亜美、赤穂ひまわりが立て続けにシュートを決めてペースをつかんだ。

デンソーは第1クォーター、第2クォーターの失点がとともに11点とほぼ完璧な内容。前半を40−22とすると後半は37−36とほぼ互角の展開となるが、その貯金を生かして初戦に勝利した。

好調なスタートダッシュから前半を圧倒したデンソー[写真]=Wリーグ

勝敗を分けたポイントはデンソーのディフェンスだったと言えるだろう。ENEOSに22本のターンオーバーを誘発させるだけでなく、24秒バイオレーションもしばしば起こさせ、フリーな状況でのシュートもさせなかった。

試合後の記者会見でデンソーの髙田真希は「(ENEOS戦に向けて)たくさん準備をしてきました。特にディフェンスについては徹底的に準備してきたつもりです。そのディフェンスからブレイクを出せたのが良かったと思います」と試合を振り返った。

同じく会見に登壇したデンソーのヴラディミール・ヴクサノヴィッチヘッドコーチは「渡嘉敷はゲームを支配できる選手。40分間抑えるのは難しい選手だが、いろいろなことを試して、対応できないように準備をしてきた」と明かした。さらに、「ENEOSのスターターはタレントぞろいで、どのポジションでも選手がそろっている。それだけにボールマンにプレッシャーをかけなければ簡単にオープンを作られてしまうが、逆にターンオーバーを起こさせられた」とコメントしており、まさに思惑どおりの試合運びができたと言えるだろう。

第1戦はデンソーが勝利したものの、ここから驚異的な粘りを見せるのがENEOSの持ち味だけに、ヴクサノヴィッチHCも髙田も気を緩めることはない。

「まだ1試合が終わっただけ。明日に向けて準備をしたい」とヴクサノヴィッチHCと言えば、髙田も「もう1回勝たないと(先勝した)意味がありません」と表情を崩さなかった。

「今日できたことは練習で準備してきたことです。それを体現できたから勝ちにつながりましたから、これは自信にしていいと思います。ただ相手は明日の試合で今日以上にオフェンスでもディフェンスでもアグレッシブに来るはず。受け身にならないように試合に臨みたいと思います」(髙田)

初戦以上に熱戦が予想されるデンソーとENEOSとのセミファイナル第2戦は明日、4月7日、正午にティップオフ予定だ。デンソーが一気に勝負を決めるか、ENEOSが逆王手をかけるのか、さらに注目を集めることになるだろう。

文=入江美紀雄

© 株式会社シーソーゲーム