パワハラ、いじめ、虐待が増加 前橋地方法務局

 前橋地方法務局が2023年に人権侵害の疑いがあるとして受理した「人権侵犯事件」の件数は、前年度比36件増の127件だったことが同局のまとめで分かった。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、他者との関わりが増えてトラブルに発展しやすくなったことや、対面の相談会の再開で事案が把握しやすくなったことが要因とみられる。

 同局によると、「労働権関係事案」は14件増の35件だった。このうちパワーハラスメントに関する事案は20件で全体の約6割を占めた。人事権のある上司から 異動をほのめかされたり、暴言を吐かれたりした事案が多かった。件数は少ないが、部下から上司に対するハラスメントもあった。

 学校でのいじめに関する事案は11件増の24件だった。対面のほか、交流サイト(SNS)上での嫌がらせの相談があった。教職員による事案は9件。

 「暴行・虐待事案」は5件増の23件。親から子が12件、夫から妻が7件、子から親が1件など。プライバシーに関する事案は19件で、全てインターネット上の問題。「個人情報を勝手に載せられた」「誹謗(ひぼう)中傷をされた」という内容が多く寄せられた。

 処理した件数は39件増の125件。うち法律上の助言や関係機関を紹介する「援助」が110件、対処できる人への「要請」が2件だった。

 専用窓口の利用者については、性差別の「女性の人権ホットライン」は9件増の279件、いじめや体罰、虐待などの「こどもの人権110番」は57件減の169件だった。

 同局は「今後、相談件数の増加が予想される。相談窓口の周知を強化し、多くの悩みを解決していきたい」としている。

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