「朝起きたら20万円がパー」有料予想配信サービスで欧州のサッカー試合に賭けた40代男性 「『絶対儲かる』という知人の言葉を信じてしまった」

自分は騙されないと思っていた人でも被害に遭ってしまう詐欺とは ※画像はイメージです(kapinon/stock.adobe.com)

警察庁は2024年3月、「SNS型投資」「ロマンス詐欺」について、2023年の被害発生状況を公表しました。「SNS型投資詐欺」は、SNSなど非対面の手法を用いて投資を勧め、相手から投資名目で金銭などをだまし取る詐欺です。「ロマンス型詐欺」は、相手とSNSなど非対面の方法で複数回やり取りをし、恋愛感情や親近感を抱かせて金銭をだまし取る詐欺とされています。

2023年の被害額は、SNS型投資詐欺で約278億円、ロマンス詐欺で約177億円です。2つの詐欺の被害額を合計した金額(約455億円)は、オレオレ詐欺などの特殊詐欺の被害額約441億円を上回りました。

警察が取り締まり注意喚起をおこなっても、新しい手口が生まれる詐欺。多くの人は「自分は注意深いので詐欺の犠牲にはならない」と考えがちですが、どうでしょうか。今から約10年前にとある詐欺にあったMさん(40代男性、学習塾経営)も、自分が騙されるはずがないと思っていたようです。

ーーMさんがひっかかった詐欺について教えてください。

「いわゆる『ブックメーカー詐欺』と呼ばれるものです。ブックメーカーとは海外の会社が運営しているギャンブルサイトで、日本からも利用できます。私は知人から“必ず儲かる”と誘われ、有料の予想配信サービスを申し込んでしまいました。配信される予想は、メールで更新情報が伝えられ、会員制サイトを見に行くと掲載されているというものでした」

ーーブックメーカーといえば、大谷翔平選手の通訳をしていた水原一平氏も利用していたと報道されています。まさか同じことをされていたということですか?

「水原氏が利用していたのは『違法ブックメーカー』で、ブックメーカーを利用すること自体が法律に抵触していたのではないでしょうか。私が遭ったブックメーカー詐欺は、ブックメーカー自体は合法のものですが、試合結果の予想サービスが詐欺だったのです」

ーー“必ず儲かる”とは詐欺の常とう文句ですね

「仰る通りです。しかしこの時は、信頼している経営者仲間からの紹介だったので、自分を騙すわけがないと信じてしまいました。さらに過去の予想情報と実際に稼げたという口座の情報も見せてもらったので信じてしまったのです」

―ーちなみに、そのサービスを利用するにはどれくらいの費用が必要だったのですか?

「はっきり覚えてないのですが、10万円くらいだったと思います。先に紹介者が稼げていた額を見ていたので、これくらいの金額なら取り返せると思っていました」

ーー実際に配信された予想情報は当たったんですか?

「いいえ、外れてしまいました。欧州のサッカーの試合が対象だったのですが、予想配信サービスでは1試合ごとに10万円を賭けるように指示があり、その通り2試合分として20万円をベットしました。試合開始は日本時間の深夜。翌朝には利益が出ているとワクワクしながら眠りにつきました。

しかし、朝起きて結果を見て驚きました。2試合とも外れだったのです。1夜にして20万円を失い、ひどく落ち込んだことを覚えています」

ーーそのことは紹介者に伝えましたか?

「はい、伝えました。しかし彼は自分も被害者だと言って私の話に耳を貸しません。何度かやり取りをしていたら、そのうち返事が返ってこなくなりました」

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ーーその予想配信サービスはその後どうなったのですか?

「その後、何度か配信されていたので追加資金を投入し、最終的にはマイナス10万円ほどまで回復できました。ただそのころから配信回数が減っていき、利用し始めてから半年もたたないうちに情報は配信しなくなりました」

ーー詐欺にあった経験を活かして、今、気を付けていることはありますか?

「どんなに信用している人が相手でも“必ず儲かる”という話は信用しないようにしています。もし信用して投資するとしても、失ってもいい金額の範囲でやると決めました。

また『必ず儲けることができるなら、投資資金を貸してください。儲けたら、投資した元金を返します』と相手に提案するようにしています。ちなみに、これを言って資金を貸してくれた人は今のところ1人もいません」

◇ ◇

意外と身近なところでも詐欺師の魔の手が迫っているのかもしれません。自分は大丈夫だと思わず、日ごろから注意しておきたいですね。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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