「共働きでお受験のコツ」共働きでも大丈夫!仕事も犠牲にしないお受験準備

仕事と受験の賢い両立を考える

育休や新しい仕事を始める方も多い4月。昭和の頃は専業主婦の存在も珍しくありませんでしたが、バブル崩壊後の1990年代から共働き世帯が増加しています。

独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が総務省統計局「労働力調査特別調査」、総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」をもとに作成した「専業主婦世帯と共働き世帯」によると、2023年では共働き世帯は1278世帯に対して専業主婦世帯は517世帯と約2.5倍の差があることが分かりました。

共働き世代が当たり前の時代、受験の中でも親の負担が大きいとされる小学校受験や中学受験を考えると本当に受験すべきか悩む方も少なくありません。

仕事を犠牲にしないといけないのか不安を感じてしまいますが、どのようにすれば子どもの受験と仕事を両立できるかを考えていきます。

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親が100%主導する小学校受験での作戦

専業主婦世帯数と共働き世帯数は約2.5倍の差がある。

小学校受験、いわゆる「お受験」は受験を決めるのは子どもが4歳から5歳の頃という特殊な事情があり、100%親が主導して入試本番までの道筋を考える必要があります。

共働き世帯の場合、子どもは保育園やこども園に通うためお迎えは夕方過ぎになります。

幼稚園組のように平日に習い事や幼児教室に通うことが難しく、小学校受験に向けて幼児教室などに通う場合は土日を中心に検討することになります。

共働き世帯の増加もあり、保護者のニーズに合わせるように幼児教室や習い事で土日どちらも休みという教室は少なくなっています。しかし、人気のある教室の土日の枠に応募者が殺到することも考えられるため、受験対策をスタートする前の段階から通う教室を複数ピックアップして応募開始となったらすぐに申し込みできるようにしておくのが無難です。

保育園に通う子の習い事は土日を中心に組み込ませることになりますが、せっかくの親子の休日を全て習い事や教室で埋めるのは考えものです。

小学校側は親子の関わりや子どもの自然体験、季節の行事を経験しているかどうか見極めようとします。両日とも習い事などで埋めてしまうと子どもに様々なことを体験させる時間が少なくなります。

土曜日は習い事、日曜日は親子でお出かけをしつつ自然体験などをするよう、貴重な親子の時間を確保しつつ小学校受験にプラスになる休日の過ごし方を決めましょう。

貴重な親子の時間を確保しつつ小学校受験にプラスになる休日の過ごし方を考える。

忙しい平日のすき間時間を有効活用する

共働きでは平日に勉強系や知識量を増やすことが難しい。

共働き世帯の子ども達の平日は保育施設で過ごす時間が長く、幼稚園に通う子と比べると平日に勉強系や知識量を増やすことが難しいです。こうした弱点をカバーするには朝と帰宅後の過ごし方を見直すことが必須です。

仕事の関係で「平日は何もできない」「早退する曜日を作るべきか」と焦ることもありますが、平日の流れの中で小学校受験に特化したドリルに取り組ませる時間を作り、親子で見直しをするのを一日のルーティンにすることで幼稚園組との差を埋めることができます。

限られた時間の中で受験対策をすることで程よい緊張感が生まれ、子どもの精神面の成長を促すことにもつながります。

その一方で「時間が少ないから」と睡眠時間を削ってまで取り組ませるのはいけません。健康的な生活を送れないと子どもらしさが奪われてしまい、受験時に小学校側が疑問を感じてしまいます。どんなに対策をしていても、選ぶのは小学校です。「この子に入ってもらいたい」と思ってもらえるよう、わが子の特徴を良い方に引き出すようにしていきましょう。

そして、小学校受験する家庭は限られていますが、その分だけ倍率も高く狭き門を勝ち取るため親の受験にかける思いも強いです。子どもの年齢を踏まえて受験するまでの残された日数を逆算し、覚悟を決めて挑むようにしてください。

スケジュール管理が大変な中学受験

リビングのカレンダーに書き込みをしたり、スマートフォンのカレンダー機能を使うなど家族で情報を共有したい。

子どもの意見がある程度反映される中学受験では「中学受験するぞ」と決めた瞬間から、入試までの道のりを夫婦、親子でどのように効率的に歩んでいくのか考えなければいけない世界に足を踏み入れることになります。

親は模試の日程や塾のプリントや宿題提出、テストの見直しや偏差値の推移、場合によってはお弁当の準備や送迎、そして𠮟咤激励と親はマネージャーに徹することが求められます。

とくに小学生が一人で勉強の管理やプリントやテストの保管をし、自分の成績を分析して苦手強化や単元を見つけ出して志望校合格に向けて勉学に励むことは不可能に近いです。塾に行けば毎回大量のプリントを渡されて帰ってきて、ドサッと置きっぱなしにしている中に重要な提出物が混じっているかもしれません。

プリントや書類の整理を積極的にする子どもは少数派で、親が管理するものと覚悟する必要があります。時間的な余裕のない共働きの場合、「模試や学校見学などの応募や予約といったスケジュール管理は自分が担当する」「プリントの管理や成績の推移はそっちが担当」と夫婦で役割分担を決めるのが理想的です。

しかし、仕事が忙しいときは自分の担当とする分野を忘れてしまうこともあります。「学校見学の予約が終了していた」というような事態を招くことのないよう、リビングのカレンダーに書き込みをしたり、スマートフォンのカレンダー機能を使うなど家族で情報を共有しましょう。

中学受験はいかに負担を軽減できるかを考えるのも大切

そして、親にとって中学受験の中で大きな負担の一つが送迎と季節講習時のお弁当問題です。塾が終わる時間帯に仕事が終わり迎えに行ければ問題はありませんが、所属する部署や季節で終業時間が異なることもあります。どうしても間に合わない時は少し自習室などで待機してもらえるようにしてもらうことや、塾に早く行ける方が迎えに行けるようにルールを決めるようにしましょう。

とくに迎えが遅くなる時があるのなら、事前に事情を説明し塾側に理解してもらうことも大切です。送迎の遅れは「事故などに巻き込まれたのではないか」と不安がよぎります。日頃から話をし、迎えが遅れる時は必ず塾に連絡をして信頼関係を築いていくようにしてください。

受験学年になると季節講習会の授業も長くなり、午前から午後にかけて行われることもあります。そうなるとお弁当、いわゆる塾弁が必要なため、共働き世帯はお弁当を作る必要があります。季節講習会だけと時期は限定されますが、忙しい朝の時間帯にお弁当を作ることや食中毒の心配とかなりの負担増となります。

お弁当を持たせる代わりにコンビニのお弁当で代わりにする、または熱いご飯などを入れても大丈夫な食中毒予防に特化しているお弁当箱を買うなど塾弁対策をし、子どもの好きなおかずを聞いて作り置きをして受験期を乗り越えていきたいですね。

小学校受験や中学受験は親が主導の受験

かつての小学校受験や中学受験では共働き世帯は不利というのが常識でした。しかし時代は変わり、共働き世帯が当たり前という世の中になっています。小学校受験でも中学受験でも共働き世帯の子どもが受験をし、合格するのは何ら不思議ではありません。

小学校と中学校の受験は親のサポートが欠かせない受験です。「共働きだけど自分が頑張らなくては!」と気負わず、年齢や学年ごとに気をつけるべきことを話し合いをし、作業を分担し、できることに集中してサポートしていくようにしましょう。

参考資料

  • 独立行政法人 労働政策研究・研修機構 「専業主婦世帯と共働き世帯」

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