低体重児に「就学猶予」、真岡市教委が許可 小学校入学を先延ばし 子どもの状況や親の心情考慮

行きつけの飲食店で遊んで過ごす小林奏明ちゃんと恵さん親子=6日午後、真岡市田町

 早産で小さく産まれた栃木県真岡市さくら2丁目、小林奏明(こばやしかなめ)ちゃん(6)が今春、小学校入学を先延ばしする「就学猶予」を同市教委から許可されたことが6日までに分かった。低出生体重での猶予は県内でまれ。同市教委は、子どもの状況や親の心情を考慮し、適切な教育環境を整える必要があると判断した。就学猶予は学校教育法に基づき、病弱や発育状況、重国籍などを理由に就学が困難な場合に認められるが、可否の判断は市町村教委に委ねられている。

 国の学校基本調査によると、全国で猶予が許可された件数は、2014年度以降の過去10年で1万1721件で、本県は29件。23年度は5件だが、いずれも外国に居住しており猶予には該当しないという。

 下野新聞社が同調査を基に、猶予を受けた児童生徒がいる県内市町に問い合わせたところ、低出生体重児の事例の確認は今回とは別に少なくとも1件あった。

 就学猶予が許可された奏明ちゃんは小林恵(こばやしめぐみ)さんの長男。奏明ちゃんは18年3月28日、予定より4カ月早く産まれた。体重は493グラムで、新生児集中治療室(NICU)に半年ほど入った。退院後はフォローアップ通院やリハビリテーションが続き、慢性肺疾患で風邪が重症化しやすかったという。

 健康不安があり、保育施設では運動、言語能力の遅れなどから同学年の子どもと同じように行動できなかった。

 学校生活の困難を懸念していた小林さんは23年8月、就学義務の猶予許可を求めて申請。同市教委は調査や諮問機関の意見を基に、特別支援学校への就学が適当と判断したが、小林さんの審査請求で再検討した結果、「子の状況や親の心情を考えた上で、適切な教育環境を整える必要がある」とし、同12月に1年の猶予を認めた。

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