●全国のファン、三回忌に善意
氷見市出身の漫画家藤子不二雄Ⓐさん(元富山新聞記者)の生家で、能登半島地震で大きな被害を受けた同市丸の内の曹洞(そうとう)宗光禅寺の復興を支援しようと、呼び掛けに応じた全国のファンが6日、寺に善意を寄せた。同日は藤子Ⓐさんの三回忌の命日。熱烈なファンは寺で営まれた法要で在りし日をしのびながら、生家の一日も早い復興を願った。
善意を寄せたのは、藤子Ⓐさんのファンサークル「ネオ・ユートピア」。代表の武藤晃さん(56)=東京・清瀬市=ら仲間が、藤子Ⓐさんの「まんがワールド」の発展に尽力する林達也さん(67)=氷見市比美町=から寺の被災状況を聞いて心を痛め、地震直後から全国の会員やファンらにメールや会員制交流サイト(SNS)などで支援金を呼び掛けた。
支援金は呼び掛けに応じた全国のファン41人と1団体から、下2桁は「氷見(ひ=1、み=3)」にちなみ60万13円が集まった。藤子Ⓐさんの三回忌法要に合わせ、武藤さんが菊池耕一住職(57)に善意を手渡した。
●本堂の柱傾き、多くの墓石倒壊
光禅寺は1326(嘉暦元)年の創建で、本堂は1938(昭和13)年、約1500棟を焼いた氷見大火で焼失。その後に再建を果たしたが、今回の地震で液状化被害がひどく、本堂の柱が傾き、多くの墓石が倒壊するなど大きな被害を受け、境内にある藤子Ⓐさんの墓も一部損壊した。
菊池住職は復興までに年数が掛かるとの見込みを示し、「藤子Ⓐさんの縁で全国から浄罪をいただき、ありがたい。復興に役立てたい」と感謝した。ネオ・ユートピアの武藤代表や仲間は「全国のファンの気持ちで、こんなに集まるとは思わなかった。先生のふるさとが元気になってほしい」と願った。
三回忌法要では、全国から集まったファンらが藤子Ⓐさんをしのんだ。仏前に善意を供え、菊池住職が読経し、参列者が心静かに手を合わせた。墓参も行った。
●林市長が墓参
林市長は6日、光禅寺を訪れ、藤子Ⓐさんの墓前で手を合わせた。林市長は「藤子スタジオから1千万円の寄付をいただいた。先生に感謝を伝え、復興を誓った」と話した。国や県への支援を引き続き求め、基金の創設なども検討する考えを示した。