【ルバーブ】の栽培方法と活用アイデア2選|桐原春子さんの育てて楽しむハーブ生活

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。第31回は【ルバーブ】です。

本連載の他、桐原春子さんの記事はをご覧ください。

ジャムが人気の【ルバーブ】

赤く色づいた葉柄(ようへい)から作る、ほどよい甘味と酸味のジャムが人気のルバーブ。日本でも認知度が高まりつつあるハーブです。

別名/ショクヨウダイオウ(和名)
科名/タデ科
性質/多年草
草丈/80~200㎝

ほどよい酸味を生かし、ジャムやパイに

草丈が2m近くになり、大きな掌状の葉を広げるルバーブ。原産はシベリア南部で日本には明治初期にもち込まれましたが、あまり利用されませんでした。

桐原春子さんによるとヨーロッパではなじみ深い植物だそうで、「一般家庭の庭や畑で育てる人も多く、イギリスの片田舎を旅していると、青果店の店先にルバーブがきれいに束ねられて並んでいるのを見かけることもあります」。

ルバーブにはほどよい酸味があり、葉柄(茎)を砂糖で煮てジャムにするのが一般的ですが、生の葉柄をパイの具に使うこともよくあり、「パイ・プラント」の呼び名もあります。カレーや煮物に入れたり、生の葉柄を薄くスライスして砂糖をまぶし、フルーツサラダに加えたりしても◎。

イギリスのビクトリア朝時代には特に好まれたといわれ、「やわらかいルバーブを育てるために専用の鉢をかぶせ、日が当たらないように軟白栽培をしました。この鉢は『ルバーブフォーサー』と呼ばれ、今も一般家庭の庭でよく見られます」。

寒冷地では葉柄の赤色が鮮やか

ルバーブには整腸作用、抗酸化作用があり、便秘を解消して動脈硬化を予防する効果があるとされます。

「ただし、一度にたくさん食べるとおなかがゆるくなることもあります。また葉にはシュウ酸が含まれているので食用にはせず、染色などに使います」

ルバーブは寒さに強く、寒冷地のほうが葉柄の赤色が強く出ます。また、葉柄がより鮮やかな赤色になる品種もあり、そういったもののほうが人気が高いそう。

「苗は堆肥や肥料をたっぷりとすき込んだ土に植え、水はけと日当たりのよい場所で育てます。大きめの鉢でもOK。日本ではまだ目新しいハーブなので、育てて大いに利用してください」

植えつけ2年目以降に収穫を

青と白にペイントした鉢に、ルバーブの苗を植えました。大きな葉と薄く赤に染まった葉柄に、ルバーブらしい存在感があります。生長に応じて、大きな鉢に植えかえましょう。

収穫は葉柄が十分に太く育つ2年目以降まで控えます。株元を覆っているレモングラスの茎(ドライ)は、肥料にもなるのでそのままで大丈夫。

活用アイデア① ルバーブのパイ

市販ではなかなか手に入らないルバーブのパイは、作りがいがあるお菓子の一つです。ルバーブのほどよい酸味と歯ごたえが、サクッとしたパイ生地と絶妙にマッチして、デザートはもちろん、休日のブランチにもぴったり。

ホイップクリームやはちみつを添えてもおいしくいただけます。

作り方(直径18cmのパイ皿1台分)

❶ルバーブの葉柄200gを1㎝くらいの長さに切り、砂糖100gをまぶして10分ほどおく。

❷冷凍パイシート(18㎝四方)2枚を解凍し、1枚はパイ皿の大きさぐらいにのばし、パイ皿に敷きつめて余分な生地は切り落とす。

❸もう1枚のパイシートはピザカッターなどで1.5㎝くらいの幅の帯状に切る。

❹②に①をのせ、③を格子模様になるようにのせて、皿からはみ出た生地は切り落とす。残りの③を縁にのせる。とき卵(適量)をはけで塗る。

❺200度に予熱したオーブンで④を10分ほど焼き、焼き色がついてきたら170度にして25分ほど焼く。

活用アイデア② ルバーブのジャム

ルバーブの利用法で最もポピュラーなのがジャム。ヨーグルトやクラッカーにのせていただきましょう。口に入れるとルバーブの繊維がほろほろとくずれ、独特の食感が味わえます。

ジャムを煮つめる時間が長すぎると、冷めてからかたくなるので、水分が少し残る15分ほどが適当です。

作り方(作りやすい分量)

❶ルバーブの葉柄250gを1㎝くらいの長さに切って鍋に入れ、きび砂糖125gをまぶし、レモン汁大さじ1をかけて、30分ほどおく。

❷①を中火にかけて煮立ったら弱火にし、アクを取り、混ぜながら15分ほど煮て、好みのかたさになったら火を止める。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2023年3月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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