日本人女性初のボルドーワイン醸造家、百合草梨紗さんはワイン商から転身「世界一のワインを」【各界の『虎に翼』】

「村の人たちが、なにかことあるごとに助けに来てくれます(笑)」と百合草梨紗さん

連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)では、伊藤沙莉が女性弁護士の草分けを熱演している。本誌は、各ジャンルのパイオニアたちに「矜持と苦労」を直撃した。前例のない世界に飛び込んだ彼女たちには、共通する “強い思い” があった――。

「私が日本人で女性であることが興味があるのか、村の人たちが、なにかことあるごとに助けに来てくれます(笑)。まわりのフランス人の生産者からも、いろいろな助言をいただけます」

日本人女性として初めて、ボルドーワインの醸造家となった百合草梨紗(ゆりぐさ・りさ)さん(45)。21歳のとき、フランスワインの生産地・ボルドーへ留学。ワイン商などを経て、2015年にボルドーのサンフィリップデグイ村に1.5ヘクタールのぶどう畑を購入した。

「10年間、ワイン商をしていていたので、いろいろな生産者との信頼関係を築けていました。本当に条件のよい畑は、なかなか情報すら入ってこないのですが、夫がフランス人だったこともあり、最高の条件の畑が手に入りました」

そして2016年、殺虫剤、殺菌剤、農薬などをいっさい使用しないオーガニック農法とビオディナミ農法でつくったワイン「シャトージンコ」をリリースした。

「いまは、ブドウの樹の剪定が終わり、木や土壌にプレパラッション(ハーブティーのような自然からできる調合剤)をまく作業をし始めるところです。クリアでピュアなワインを目指し、ボルドー一、世界一のおいしいワインを造るメーカーを目指しています」

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