岡部たかしは土木会社に就職し寮暮らし…苦労話・貧乏話・やんちゃ話がスゴい4人の俳優(桧山珠美)

北村一輝(C)日刊ゲンダイ

【桧山珠美 あれもこれも言わせて】

1日放送「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK)のゲストは俳優の岡部たかし(51)だった。

この日、岡部と鶴瓶が訪れたのは大阪府泉佐野市。奥村組土木興業に就職し、その寮があった場所に行ってみたいということだった。だが、30年も前のこと、駅を見ても「何一つ思い出が蘇らない」と言い、道を歩いても「込み上げてくる懐かしさがまったくない」と岡部。寮の場所もわからずじまいで後日スタッフが探し当てた。

コンビニのおばちゃんもたこ焼き屋のおばちゃんも鶴瓶を見て大喜びだが、隣の岡部には気づかない様子。ちなみに、前回の朝ドラ「ブギウギ」で風呂屋の常連、アホのおっちゃんを演じ、1日から始まった朝ドラ「虎に翼」では伊藤沙莉演じるヒロインの父親役を演じているが、まだ知名度は低そうだ。

役者人生は長いが、それだけで食えるわけもなく、バイトを辞めたのはここ10年ほどと岡部。「NHKの撮影とか終わったらまだ『タイムカード打ってくるの忘れた』って思うくらいバイトの癖が抜けてない」と語った。

この手の遅咲き俳優には苦労話がつきもの。

先週「あさイチ」(NHK)プレミアムトークに出演していた北村一輝(54)。18歳で上京、事務所に入れるものと思ったが、プロフィルを送っても返事はなく、60社以上に連絡したが、所属できたのは10年後。北村がすごいのはそれでも売れたら海外旅行もできなくなると思い、4年間海外を放浪したという。超ポジティブだ。

ゲイバーのママを演じるために新宿2丁目に通いつめたとか、チンピラを演じるために前歯を抜いたとか、英語をマスターするために外国人を同居させたとか熱いエピソードに事欠かない。

54歳にしてミュージカルに初挑戦。松本幸四郎や渡辺謙が演じた「王様と私」のシャム王を演じる。パワフルだ。

ギャンブル依存症だった野間口徹

1日からの夜ドラ「VRおじさんの初恋」(NHK)で主演する野間口徹(50)。以前「ねほりんぱほりん」(Eテレ)のナビ番組に出演した時のこと。「元詐欺師」や「宝くじ1億円当せん者」などワケありゲストから話を聞くトーク番組なのだが、それまでの放送回で自分が好きだった神回として「ギャンブル依存症」の回をあげた。自身もギャンブル依存症で、「20代の頃、手元に7000円しかない時に競馬に行って、5000円突っ込んで万馬券がきた」そうで、それから競馬にハマった。

風間トオル(61)も想像をはるかに超える。幼い頃に両親が離婚し、祖父母に育てられたが、貧乏で食べるものがなく、草を食べていたとか、認知症の祖父の下の世話までしたとか。

苦労話、貧乏話、昔のやんちゃ話もコンプラとやらで語られなくなる日がくるとしたら残念。

(桧山珠美/コラムニスト)

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