ドイツで大麻が合法化…日本でも2023年12月に大きな法改正があったが勘違いは禁物【「表と裏」の法律知識】

ドイツで大麻所持が条件付きながら合法化されることに(C)iStock

【「表と裏」の法律知識】#229

ドイツで4月1日、18歳以上の大麻の所持・消費を条件付きで認める法律が施行され、大麻所持などが条件付きで合法化されることになりました。具体的には、個人で使用する目的であることを前提に、公共の場では25グラム、自宅では50グラムの大麻を所持することや、3株まで栽培することなどが認められています。

一方で、大麻の有害性がすべて否定されたわけではありません。ドイツで施行された新法においても、18歳未満の者による使用や18歳未満への譲渡に対する罰則が強化されたほか、学校や子どもの遊び場の付近で大麻を使用することが禁止されるなど、子どもが大麻を使用することに対する悪影響が懸念されていることがうかがえます。それでもなお合法化に至った理由は、闇市場での取引を規制し、薬物犯罪を減少させることにあるようです。

では日本はどうかというと、まだ大麻の個人使用が認められていませんし、昨年末の法律改正をみても、個人使用が認められるのはまだまだ先なのだろうなと思います。

2023年12月の大麻取締法改正は実はかなり大きな改正でした。まず大麻が「麻薬」と位置付けられ、大麻取締法ではなく麻薬及び向精神薬取締法による規制を受けることとなりました。これは、大麻から製造された医薬品の有用性が海外で認められ始めていることを受け、日本国内でも大麻関連の医薬品として利用・摂取することを認めるための改正という側面があります。その一方、改正により、従前処罰されていなかった大麻の使用も、他の麻薬と同様に処罰されることになりましたので、一般的には、大麻関連の処罰範囲が広がったという受け止め方がされている印象です。

つまり、大麻の有用性を前提とした法律改正ではありましたが、一般人がたばこのように自由に大麻を吸う余地のある改正ではなかったのです。

もしドイツなど海外で大麻を吸ったとしても、日本国内で大麻を使用したと疑われて逮捕されることもあるかもしれません。海外で解禁のニュースがあったとしても、くれぐれも勘違いしないようにしてください。

(髙橋裕樹/弁護士)

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