漫画「男子校の生態」第2巻出したコンテくんにインタビュー 修道中・高でのやんちゃな青春リアルに

「男子校の生態」の著者コンテくん㊥とメインキャラクターの加地くん㊧、坂東くん(モデルになった人物にキャラクターの顔を付けています)

 「先生って童貞ですか」と、授業中いきなり新人教師に質問し、女装コンテストでは大張り切り。でも1日にしゃべった女子はオカンだけ―。にぎやかでやんちゃな男子たちの青春を描いた漫画「男子校の生態」第2巻(KADOKAWA)が3月下旬、出版されました。著者は広島市出身の漫画家コンテくん。母校の修道中・高(中区)での体験を基にした男子校ならではのエピソードが交流サイト(SNS)で人気急上昇し、勢いに乗って書籍化された第1巻は2023年の広島本大賞(コミック部門)を受賞しました。第2巻の内容や作品の魅力をコンテくんに聞きました。

 ―第2巻も面白さてんこ盛り。入学式から始まり、卒業式で終わる構成です。

 読みどころの一つは、卒業式です。修道高では「閉会の辞」が終わるやいなや、卒業生が大声で「ちょっと待った!」と叫ぶ「伝統行事」があります。一声の後は生徒たちが式を仕切り、先生たちを胴上げするなど大胆で熱いパフォーマンスを繰り広げます。そのエピソードを入れたくて母校に立ち寄り、代々の卒業式の話を学年主任だった恩師に取材しました。
 僕が所属していたスクールバンド班の合宿がベースになっている話にも、ページ数を割いています。風呂場で大合唱するなど、普段はスマートな先輩もアホなことをしてしまう「宿泊系イベント」の裏話を、皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです。

 ―姫のようにめでられる「姫ポジ」の「コンテくん」をはじめ、自由奔放で「男子校ノリ」代表格の「坂東くん」ら個性的な登場人物が、作品の中で居心地よさそうです。

 スクールバンド班に入部したての中学1年の頃は、高校3年の先輩にかわいがられ、姫ポジを素直に楽しんでいました。そんな体験が漫画に生きています。「姫ポジなんているわけない」とネットに書かれたこともありましたが、同窓大会で出会った70代の修道OBが「わしの時代も姫ポジはおったぞ」と言ってくれたのが、面白かったですね。振り返れば、異性の目を気にしなくていいので男らしさから解放される生徒がいたり、逆に男らしさを追求する人もいたり、オタクはディープなわが道を極めたり。男子校の中で、生徒それぞれが役割を担っていたのかもしれません。ちなみに、第1巻で授業中にPerfume(パフューム)の曲を歌い踊り、素っ裸でプールに飛び込んだ坂東君は「俺も若かったわ」と、今は少し大人になっています。

 ―反響が大きいそうですね。

 懐かしく読む男子校出身者は多くいますが、たくさんの女性も読んでくださっていると聞きました。男子校の世界が気になるという方や、家では学校のことを話さない中高生の息子がいるお母さんたちが、思春期男子の日常を垣間見る思いで読んでくださっているようです。修道の先生たちや現役生、保護者、OBもとても喜んでくださり、続々とネタを寄せてくれます。
 これまで、男子校が舞台の漫画はキラキラしたイケメンだらけの世界で描かれることが多かったです。それとは違って、僕の作品ではリアルに近い男子校です。男女共学に転換して減る一方の男子校の出身者が手がける「男子校漫画」は、希少なのかもしれませんね。

 ―本業はCMプランナー。なぜ漫画を始めたのですか。

 もともと絵が好きで、仕事でも絵コンテをたくさん描いていました。新型コロナウイルス禍で仕事が落ち着いた時に、「世の中が止まっている今こそ、努力したら頭一つ抜きんでるんじゃないか」と、オンライン講座で漫画を学び始めました。講座の課題でもあったので、2020年4月からSNSに1日1ページの漫画をアップすることになり、男子校の日常を描いてみたらすごく受けました。僕は高校3年の時、卒アル委員会に入っていて、学年全体のアルバムとは別に自分のクラスだけの特別な卒業アルバムを作ったんです。いまだにそのアルバムを見ながら漫画を描いています。
 CMの仕事で培った「短い尺の中で分かりやすく物事を伝える」スキルは、漫画にも役立っています。何を取り上げ、何を捨てるのか―といった情報の取捨選択や客観的な視点を養ってきたことも、僕という漫画家の強みなのかなと感じています。

 ―これからの目標は。

 「男子校の生態」を第6巻まで出したいなと思っています。エッセー漫画は寿命が短いといわれますが、ありがたいことに僕には、300年近い歴史と伝統を誇る母校がついています。僕の体験ではなくても、現役生やOBの面白いエピソードは山ほどあるので心強いですね。

コンテくん 広島市出身の30代。年齢、本名とも非公表。大学卒業後は東京都内の映像プロダクションでCMプランナーの仕事をしながら、2020年から漫画家の活動も始め、「男子校の生態」が23年の広島本大賞コミック部門受賞。24年3月に第2巻発売。

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