友達のいない娘が心配 読者がつなぐ「よろず相談室」

 広島市佐伯区の主婦(42)からの相談です。

 「小学校中学年の娘には友達がいません。学校の休み時間は絵を描いたり縄跳びをしたり、1人で過ごすことが多いようです。家では同級生の名前を口にすることはほとんどありません。近所の公園で同級生に出会っても声をかけないし、かけられません。娘は宿題を終えたら家でゲームをしたり、きょうだいと遊んだり。学校が嫌だとか行きたくないとは言いません。私もなるべくその話題に触れないようにしていますが、友達と遊ぶよう促したら不機嫌になります。友達がいればもっと学校は楽しいと思うのですが、このままで大丈夫でしょうか」

読者からの回答
★疲れてしまう子も

 私の娘も小学生の頃、昼休みは1人で散歩したり、図書室で過ごしたりしていると聞いて心配していました。その後、娘からトイレに行くにもグループのみんなで行動しなければならず、疲れてしまうと聞きました。勤務先の中学でも1人で過ごすのが好きな子はたくさんいます。それでもグループ活動などはきちんとできていますよ。自分らしく心穏やかに過ごせたら幸せではないでしょうか。(広島県尾道市・公務員女性・45歳)

★「味方でいる」伝え

 娘さんが友達が欲しいと悩んでいるかが重要ではないでしょうか。私も娘の人間関係は気になっていましたが、お互いの関係性は子どもにしか分からないのであまり言わないようにしました。友達の話ではなく、その日にあった出来事を楽しく話せたらいいのではないでしょうか。子どもには「何でも話して」と声をかけていつでも味方でいるよ、と言葉や態度で伝えることが大切だと思います。(広島市西区・主婦・46歳)

★趣味通じて友達を

 娘さんの興味のある習い事を始めたり、地域行事に参加したりするのはいかがでしょうか。息子も小学校を転校したからか、帰宅後に友達と遊ぶ機会が減ってしまいました。発明クラブや公民館の科学イベントに一緒に参加しています。そこでは大人も含めて誰とでもおしゃべりを楽しんでいる様子です。学校だけでなく、趣味を通じて友達が増えるといいですね。(安佐北区・主婦・42歳)

★年齢とともに変化

 私自身、小学生の時は「友達と遊ばないの?」と言われることがとても苦痛でした。一緒にいて楽しいと思える同級生がおらず、1人でゲームをしたり、絵を描いたりするほうがよかったからです。年齢を重ねるうちに、徐々に友達が増えていきました。当時は家族で過ごす時間が安心できたので、仲良くしたい相手が見つかるまでは家族の時間を充実させてほしいです。(南区・会社員女性・26歳)

★不安症の可能性も

 学校には通えるし、きょうだいとも遊べる。私の子どもも似たような状況でした。学校に相談したところ、不安症の一つである場面緘黙(かんもく)の可能性を指摘されました。担任の先生がクラスメートに絵本を使って症状を説明してくれました。その後もスクールカウンセラーさんの支援などがあり、少しずつ周りの友達と遊べるようになっています。(安佐北区・会社員女性・41歳)

【専門家から】
本人の居心地の良さ、考えて 元教諭でカウンセリングルーム虹の臨床心理士 野中春樹さん(71)

 友達と一緒にいるのが楽しいかどうかは個人差があります。友達と遊ぶよう促されるとつらくなってしまう子もいますし、輪の中で人と同じことをするのが苦手な性格の子もいます。親の価値観でアドバイスするより、本人が困っていることがあるならそれを具体的に聞く姿勢を持つことが大切です。

 今できていることに目を向けてみましょう。学校に通えている、授業が好き―。1人で過ごせるのも能力の一つです。また、家で楽しく過ごせているのは自宅が安心できる場所になっている証拠です。親の不安が大きくなると、子どももそれを敏感に感じ取って自信をなくします。お母さま自身がもう少し楽に考えてみましょう。

 発達や対人関係への不安などがあれば、学校に相談して見守る必要はあります。お子さんは自分の生き方を形作っている途中です。友達がいる、いないにかかわらず、部活や授業が楽しくて学校に行っている子もたくさんいます。本人の居心地の良さを考えてあげてください。

【係から】
 「無理に友達といる必要はない」との声が目立ちました。私も幼少期は、友達より親や先生たち大人と過ごす方が心地よかった気がします。専門家によると最近は「1人が好き」という子どもも多いそう。困った様子があればすぐに手を差し伸べられるよう、大人は見守り続けてほしいです。

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