賃貸住宅への入居サポート 県包括協、断られやすい高齢者ら対象

 県地域包括支援センター等協議会(峯田幸悦理事長)は今月から、賃貸住宅への入居を断られやすい高齢者、障害者など「住宅確保要配慮者」をワンストップで支える「居住支援法人」の事業を始めた。山形市内を中心に物件探しや家賃の支払い援助、入居後の見守りなどに取り組んで地域包括ケア体制の構築を推進し、各分野の人手不足解消に向けた外国人材の活用拡大も図りたい考えだ。

 孤独死や家賃滞納、隣人トラブルへの懸念などを理由に、不動産業者が高齢者らへの物件紹介に二の足を踏むケースは少なくない。居住支援法人は、こうした課題解消を図り2017年に改正された住宅セーフティネット法に基づき、各都道府県が指定する。県内では同協議会に加え、東京と山形、酒田の両市の計4団体が指定を受けている。

 昨年末時点の県内の指定法人数は、東北では秋田県と並び最少で、峯田理事長は「地域包括ケアシステムを構成する一要素の『住まい』について、県内では受け皿が整っていない」と指摘する。精神疾患がある人の自立・社会参加促進、介護分野などで活用が進む外国人労働者の生活基盤を確保する必要性なども踏まえ、同協議会は昨年度、先進地から講師を招いて制度の仕組みや実態を学ぶ勉強会を開くなど、指定に向けた準備を進めてきた。

 支援法人は相談者から現在の生活状況や家賃といった希望条件を聞き取り、不動産店と情報共有し、高齢者らの入居を拒まない「セーフティネット住宅」などの物件を紹介する。契約時の同行、家賃債務保証、入居後の定期的な見守り、退去の際の立ち会いなどに加え、入居中に万一亡くなった場合の遺品整理まで、一貫したサポートを行う。

 峯田理事長は「不動産業者や行政との連携強化、制度の理解促進に努めて綿密な支援の仕組みを構築したい」と力を込める。相談は無料で生活困窮者や刑務所出所者にも対応し、平日午前9時~午後4時に受け付ける。問い合わせは同協議会023(666)7077。

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