高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2024 東北 第1節 仙台育英 vs ベガルタ仙台ユース

失点直後に立て続けの2ゴールで逆転し仙台ユースが仙台育英との宮城勢対決を制す
ベガルタ仙台ユースFW齋藤俊輔(3年)は足下の技術の高さを見せ、決勝点となるゴールを挙げた

 高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2024東北が4月6日開幕した。仙台育英学園サッカー場では、2年ぶりにプリンスリーグ東北に復帰した仙台育英が、昨季プリンスリーグ東北2位で4年ぶりのプレミアリーグプレーオフ出場を果たしたベガルタ仙台ユースと対戦した。

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 試合は序盤に大きく動いた。9分仙台育英はペナルティエリアわずかに外でファウルを受けて、直接フリーキックのチャンスを得た。ここでキッカーを務めたのはキャプテンDF渡邊留唯(3年)。「練習でも何回かセットプレーを蹴っていて良いイメージがあって、リラックスして蹴ることができました」と振り返った通り、ボールが美しい軌道でゴール左上隅に突き刺さり、仙台育英が先制に成功した。なお、城福敬監督は「ビックリしました。MF中西大晴(3年)が蹴ると思っていました。練習していたと思うのですが、素晴らしいフリーキックでした」と予想外の渡邊のフリーキックがゴールにつながり喜んでいた。

ベガルタ仙台ユースキャプテンMF横山颯大(3年)は既にトップのルヴァンカップにも出場。ボランチとして別格の存在感を見せた

 しかし、先週末行われていた船橋招待で市立船橋や前橋育英など強豪チームに勝利し4勝2分けの無敗で3位となるなど良い形で調整ができていた仙台ユースはここから牙を剥く。14分仙台育英がゴール前を固めた中で、FW齋藤俊輔(3年)がFW古屋歩夢(3年)に縦パスを入れて、古屋からのパスを受けたのは右サイドハーフのMF永守大宙(2年)。永守が落ち着いてゴールを決めてすぐ同点に追いついた。

 さらに直後の15分、左サイドハーフのMF浅尾涼太朗(2年)がドリブル突破。パスを受けたのは齋藤俊。「涼太朗からパスが来て、あの時はシュートしか見えていなかったので、パスを選択せずシュートを打ったことは良かったと思います」と振り返った通り、迷わず脚を振り、仙台ユースは6分で逆転に成功した。

 しかしその後は仙台ユースはボールを保持しながらも、渡邊を中心とした仙台育英の粘り強い守りをなかなか崩せない。そして仙台育英がロングボール、クロスボールや、カウンター攻撃でいくつか決定機をつくり出した。後半も仙台ユースは決定機をつくるものの決め切れず、仙台育英は後半開始から投入されたスピードのあるMF長滝立優(2年)の突破からいくつか決定機をつくったが、こちらもあと一歩で決め切れなかった。89分にも長滝がドリブル突破からシュートを放ったが、仙台ユースGK室井陸杜(3年)がパンチングでかき出しピンチをしのいだ。このまま試合終了し、2-1で仙台ユースが勝利した。

ベガルタ仙台ユースの先発メンバー

 今季の仙台ユースはこの日の2ゴールのように、良い時はどれだけ相手にゴール前を固められても、パスやドリブルで相手を剥がしてシュートまで持ち込める技術の高さが魅力だ。3月にはルヴァンカップアスルクラロ沼津戦にも先発出場したキャプテンMF横山颯大(3年)も「ゴール前のアイデアだったりコンビネーションだったりを自分たちの武器として持っていて、ゴールを決め切れる選手もいます。厚く人数かけてゴールに向かうところは自分たちの強みかなと思います」と語る。

 その中で仙台ユース木谷公亮監督は「(得点時は)アタッキングサードでクオリティを出せて良かったですが、その後前半アクションの停滞がありました。みんなボールを受けず、相手を外さず、相手の外側でボールを回していました。もっと一人一人が相手を外して、怖がらずに前を向く必要がありました」と2点取った後のプレーで課題を口にした。横山颯も「最後のクオリティだったり精度だったりを上げていかないと、もう1回自分たちのペースに持って行くことができないと思うので、精度や決め切るところは大事」と語る。さらに技術や判断の部分を高めて、プリンスリーグ東北優勝を目指す。

仙台育英の先発メンバー

 一方、敗れたものの粘り強い戦いを見せた仙台育英城福監督は「3点目を取られてもおかしくなかったですが、1点差でどこまで辛抱できるかというゲームができて良かったです」と手応えを語った。次節は昨季優勝の青森山田セカンドとの対戦だが、そこに向けても収穫のある内容で、キャプテン渡邊は「ベガルタと良いゲームができたので、良いイメージで戦いたい」と意気込んだ。

 ただ、2失点時は「クリアが小さくなって相手に渡ってしまうなど細かいところがまだ課題です。1回プレーを切る、高さを使ってはね返すとかできれば良かったです」と城福監督は対応の甘さを課題に挙げた。キャプテンの渡邊は「相手は格上でしたがリスペクトし過ぎていました。1点取っていけるんじゃないかと思って油断が出てしまい、冷静にプレーできたら良かったです」と先制後のプレーを反省していた。また、渡邊は「春の遠征でも得点力が課題でした。1本チャンスを決め切ることは、こういうゲームだと大事になってくるので、1本で相手を沈められるようにしたい」と得点力アップにも意欲を見せる。この日見せた粘り強さを勝点につなげていきたい。

(文・写真=小林健志)

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