棚橋弘至 第3世代撃破で第1回NJC優勝「新日本を世直しする」

決死の覚悟で場外へ人間ロケット。棚橋執念のVだった

【昭和~平成スター列伝】新日本プロレスの春の本場所「NEW JAPAN CUP」は今年で20回目を迎え「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」の辻陽太が、後藤洋央紀を撃破して殊勲の初優勝を飾った。

常に世代交代の舞台となったNJCだが、記念すべき2005年の第1回大会(4月19~24日)は、現社長の“エース”棚橋弘至が優勝を決めている。棚橋や中邑真輔の新世代、第3世代ら16選手が参加。当時は無差別級で獣神サンダー・ライガー、ケンドー・カシンらも参加している。

棚橋は1回戦でいきなりミスターこと永田と対戦(19日広島)すると、ムエタイ修行を積んだ永田に苦戦し、最後は永田のレフェリー暴行による反則勝ち。2回戦(21日後楽園)は金本浩二を飛龍原爆固めで一蹴。準決勝(24日大阪)では猛牛・天山広吉のアナコンダバイスを切り返し、首固めで辛勝。見出しは棚橋ではなく「ダメ天山に逆戻り」というまさにツームストーンの残酷なものだった。

そして臨んだ同日メインの決勝戦。相手は後藤洋央紀、蝶野正洋、カシンらを破った中西学だった

『中西のパワーには正直かなわない。ラリアート、ネックハンギングツリー、ハイジャックブリーカー…棚橋は紙人形のごとく翻ろうされた。勝利を確信した中西はラリアート、投げっぱなし飛龍原爆、スピアー。棚橋は青息吐息だ。「ホ~っ!」と絶叫した中西はアルゼンチン式背骨折りからヘラクレスカッターの必勝パターンへ移行。この瞬間を冷静に棚橋は待っていた。「次の展開が読めた」。中西の頭上で体を巧みに操って脱出。閃光魔術弾、投げ捨て飛龍原爆で大逆転し、中西をロープに飛ばすと、ついにスリングブレイド(旋回式ネックブリーカー)を発射。不意をつかれた中西から19分21秒、3カウントを奪った』(抜粋)

永田、天山、中西の第3世代を撃破しての優勝。世代交代を満天下に証明した棚橋は「新日本を世直しする。僕と中邑で新しいプロレスを見せたい」と胸を張った。中邑とはこの年を最後にタッグを発展的解消し、翌年7月にはIWGPヘビー級王座を奪取する。しかし新日本はまだ冬の時代が続いており、その後に棚橋は中邑との名勝負で、団体を再建することになる。 (敬称略)

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