小学1年生の勉強 サポートのコツは? トータル教育アドバイザーに聞いた

小学生が使う算数セットと自宅で数を教える際に便利な卵容器

 この春小学校に入学する新1年生の保護者の皆さん、宿題や家庭での学習をどうサポートすればいいか悩んでいませんか。ポイントは「焦らずじっくり基礎作り」だそう。幼児教室講師や学習塾運営を通じ、500人以上の子どもを見てきたトータル教育アドバイザー木田志乃文さん(50)=広島市佐伯区=に算数、国語、生活面それぞれの取り組み方のこつを聞きました。

 ■算数

 2+5などの計算式を早く解けるようにならなきゃと思いがちだが、まず大事なのが、数・量の概念を身に付けることだそう。10は7と3でできている、19は10と9というふうに合成と分解をイメージすること。例えば、10個入りの卵の空きパックにあめ玉を3個入れて「あと何個増えたら10個になる?」と問い、手を動かして視覚的に説明することを繰り返すことで理解が深まる。

 1年生で習う数は120まで。2年生は1万、3年生で1億に増えます。低学年でのつまずきは少ないかもしれないが、「3、4年生になると『この子、算数が苦手かも』と気づく親御さんが目立ちます」と木田さん。繰り上がり計算が難しそうだなと感じたら、「再び卵パックに戻ってしっかり数・量の概念を確認してあげて」。万や億などの大きな数、分数、少数の計算のスムーズな理解につながるという。

 ■国語

 字を書く前に、最初は複数の点をつないだ図形をまねして書く練習がお薦めです。大切なのは書き順をちゃんと意識し、手本通りに書くこと。文字を書いて覚えるだけでなく、集中力を育み、板書を写したり先生の話を聞いたりする場面でも役立つ。

 ひらがなや漢字の書き取りの宿題は「たくさん書くより、少なくても丁寧に書くことが大事」と木田さん。子どもは、早く終わらせたくて書き順や文字のバランスは「まあいっか」となりがち。しかも、注意されたり直されたりする経験が重なると子どもは「勉強が嫌!」となる。大人が一度書いて見せて「すごく丁寧に三つ書いて」と促し、その中で一等賞を見つけて花丸を付けて褒めてあげるといいという。

 文章問題は、音読してから問題を解くことを習慣付けましょう。子どもは早とちりして、単語や一部だけを拾って答えを考えてしまうことがよくある。問題文が短い1年生のうちに、落ち着いて文章の内容を読み込む姿勢を身に着けることが、その後の成長につながる。

 ■生活面

 小学生になると、集団の中で自分の思いを伝えなければいけない場面が増えてくる。家庭内の会話でも意識してみよう。子どもが「お母さん鉛筆」と言っただけで全てを察して対応するのではなく「何をどうしたいのか」ときちんと言葉にするよう伝えましょう。

 「勉強している時などに子どもが『分からない』と言ったら、必ず褒めてあげて」と木田さんは力を込める。分からない、助けてほしい、教えてほしい―。それが言えず、困り事を抱え込んでしまう子どもは多いという。日頃から「分からないって言っていいんだよ。よく言えたね」と声をかけてあげることが、子どもの大きな力になるという。

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