全日本選抜体重別柔道 老野V2 81キロ級連覇は永瀬以来

【男子81キロ級決勝】延長4分過ぎ、老野(旭化成、左)が小外掛けで一本を奪う=福岡市、福岡国際センター

 地元福岡で世界への扉を開いた。男子81キロ級は今月社会人になったばかりの長崎日大高出身の老野祐平(旭化成)が昨年に続いて制し、世界選手権の代表入りに大きく前進した。決勝は同学年の竹市(ジャパンエレベーター)と対戦。「ずっと負けていた相手。絶対に勝つんだという気持ちと、何が起きても闘いきる気持ちが最後に出た」。8分超の接戦を鮮やかな小外掛け、一本勝ちで締めくくった。
 大会を通じて組手争いで優位に立ち、勢いで勝ち上がった昨年から成長を示した。いきなり昨年準Vの釘丸(パーク24)とぶつかった初戦は冷静に指導3を引き出し、準決勝と決勝は互いに指導2の展開から得意の足技を決めきった。
 北九州市出身。同じ階級でパリ五輪代表に内定している永瀬貴規(旭化成)は長崎日大高の8学年先輩で、高校時代に胸を借りた経験もある。昨年9月の杭州アジア大会で銅メダル、今年2月のグランドスラム・パリ大会で3回戦敗退と国際舞台の悔しい経験を重ねるたびに「永瀬さんの偉大さが身に染みる。最後まで勝ちきる永瀬さんはすごい」と感じる機会が多くなったという。負けから学び、進化につなげた。
 81キロ級の連覇は2017年まで4年連続で制した永瀬以来だ。名実ともに後継者として期待される22歳は、初の世界選手権に向けて「絶対に優勝できるように準備していく」。「優勝」のフレーズに、ひときわ力を込めた。

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