地震発生! 一瞬の躊躇もなく身障者の同級生を抱いて避難した高校生―中国メディア

3日に台湾で発生した地震では、福建省アモイ市もかなり強い揺れに見舞われた。中国ではアモイ市内で高校生が、一瞬の躊躇もなく隣の席の身体障害者の同級生を抱きかかえて避難したことが評判になった。

3日午前7時58分に台湾東部沖合いで発生した地震では、台湾海峡の対岸にある福建省アモイ市も、かなり強い揺れに見舞われた。中国ではアモイ市内で高校生が地震発生を受け、一瞬の躊躇もなく隣の席の身体障害者の同級生を抱きかかえて教室外に避難したことが評判になった。

九派新聞など中国の各メディアが紹介した動画には、男子生徒一人が別の生徒を抱きかかえて運ぶ様子が撮影されている。画面には教師と思われる人物も映っているが、教師が指示したのではなく、自発的な手助けに見える。

同級生を避難させた生徒は張智勲さん。同級生のLさんは、まれな病気にかかり手足が委縮している。車いすを使っているが、腕の一部がわずかに力を出せる程度で、自力での移動はできない。

学校はLさんの入学時に、Lさんが属する高校1年1組の教室を校舎1階にするなどで便宜を図った。また、担任教師の紀舒晴さんが張さんに、Lさんの隣の席になってほしいと伝えて張さんの考えを聞くと、張さんは即座に同意した。

紀先生によると、Lさんの母親は多くの場合、学校に手伝いに来ているが、常に来られるわけではない。Lさんの母親がいない時には、男子同級生がLさんの移動を助けてくれる。特に大変なのは、例えば別の階にある実験室に行く場合だが、隣の席にいる張さんが主にLさんを手助けする。張さんもいない場合には、他の生徒がLさんを助ける。

張さんによると、3日朝には地震が発生した瞬間に、「Lさんを残しておけない。(車いすではなく)抱きかかえて逃げる」ことが頭に浮かんだ。一瞬の空白時間もなかったという。

Lさんによると、地震を感じた直後に「自分は動けない。逃げられない。どうしてよいか分からない」との思いが頭をよぎってつらかった。しかし張さんに抱き上げられて教室の外に向かい始めたことで「生きていられる」と感じたという。

張さんは、中学時代に行われた避難訓練では、同級生がLさんを抱きかかえて避難したと説明した。そのことがずっと、印象に残っているという。

3日には、いったんは屋外に避難した生徒らは、警報が解除されたことで教室に戻った。紀先生は、張さんがLさんを抱いて避難する様子を撮影した動画を生徒に見せた。全員から大きな拍手が沸き、長く続いたという。

紀先生によると、張さんはその後、クラスの「神生徒」とされるようになった。張さんは驚いてしまい恥ずかしそうにしている。張さんは「やるべきことをやっただけです」「よいことをしてそれが認められたということは、幸運だったのでしょうか」などと述べた。

アリババが設立した、「社会にプラスのエネルギーを伝える行為」を奨励する阿里巴巴天天正能量は4日、張智勲さんに報奨金5000元(約10万5000円)を授与した。(翻訳・編集/如月隼人)

© 株式会社 Record China