元気に見えてもシニア世代 10才の猫に起こる「行動の変化」とお世話のコツ

まだまだ元気に見える10才の猫ですが、行動などからエイジングを実感する機会も増えるでしょう。
そこで今回は、10才の猫にあらわれやすい行動の変化やそれに伴うリスク、お世話のコツなどについて、獣医師の椎木亜都子先生に伺いました。

10才の猫にあらわれる「行動の変化」

引用元:Sergey Kuznetsov/gettyimages

寝ている時間が増える

猫は高齢になると体力が落ちてくるため、活動量を減らしてエネルギーを温存するために、若い頃より睡眠時間が長くなる傾向が。また、聴力が衰えて物音に気付きにくくなることで、長く寝続けられるようになるともいわれています。

上下運動がしにくくなる

筋力やジャンプ力の衰えにより、高い場所まで軽快に駆け上がることができなくなったり、ジャンプを伴う上り下りがしにくくなったりします。あまりにも運動をしなくなった場合は、関節を痛めているケースも疑いましょう。

毛づくろいの頻度が減る

「起きている時間の約30%は毛づくろいをしている」といわれるほど、猫は頻繁に毛づくろいをする動物です。しかし、高齢になると猫は起きている時間が短くなるため、毛づくろいに当てる時間も若い頃に比べて少なくなります。

経験や学習を生かした行動が増える

10年以上生きてきた猫は、成功や失敗など、さまざまな経験をしてきています。「こうすればいいことが起こる」「こうしたら嫌なことが起きる」といった学習を積み重ねているので、それらを生かした賢い振る舞いが多くみられるようになるでしょう。

10才の猫が気を付けたい「行動の変化」に伴うリスク

引用元:rai/gettyimages

関節を傷めるリスク

ジャンプ力や筋力が衰える10才の猫は、無理に飛び乗ろうとして失敗したり、高い場所から着地する際などに足の関節がダメージを受けたりして、変形性関節症を起こすことがあります。高齢で肥満の猫は、より関節に負担がかかりやすいので注意が必要です。

粗相(そそう)が増えるリスク

加齢性の病気の影響などで、猫がトイレ以外の場所でオシッコやウンチをするようになるケースも。たとえば、腎臓病などの影響で排せつ回数が増えてトイレの清潔さが低下する、変形性関節炎などによりトイレの縁をまたぐのが負担になるなどの理由が考えられます。

10才の猫の「行動の変化」に合った対応やお世話

引用元:marketlan/gettyimages

こまめなブラッシング

毛づくろいの時間が減って、猫自身による被毛のお手入れが不足すると、毛づやが悪くなったり毛玉ができやすくなったりします。ブラッシングをこまめにすることで、毛づくろい不足を補ってあげましょう。

低い場所にも寝床を用意する

愛猫の寝床が高いところにしかない場合は、低い場所にも猫ベッドを用意してあげましょう。上り下りせずに寝床に出入りできるため、体への負担が軽減されます。ただ、猫の気分で寝床を選べるよう、高いところの寝床も残しておくのがおすすめです。

遊びは短時間&回数を増やす

10才の猫の場合、長い時間動き回ることが減っているため、遊びは短い時間で切り上げてもOK。ただ、遊び自体は猫にとってとてもいい刺激や運動になるので、短時間で回数を増やして誘ってあげるのがベターです。

大きな段差にはステップを

ソファの上など、猫が気に入っている場所に行くまでに大きい段差がある場合は、ステップを置いてあげるといいでしょう。段差の問題などで愛猫の行動範囲が狭まらないよう、配慮してあげることが大切です。

猫の行動が加齢に伴って変化するのは自然なこと。高齢になった愛猫ができるだけ暮らしやすいよう、生活環境を整えてあげられるといいですね。

お話を伺った先生/椎木亜都子先生(ペット問題行動クリニックBLISS 獣医師)
参考/「ねこのきもち」2024年3月号『まだまだ元気だけど、いろんな変化が見えてきます 10才猫ってこんなかんじ』
文/東里奈
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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