中国の科学者、2次元遷移金属テルル化物の効率的な創製実現

中国の科学者、2次元遷移金属テルル化物の効率的な創製実現

2次元遷移金属テルル化物材料の効率的な創製を示すイメージ図。(資料写真、大連=新華社配信)

 【新華社大連4月7日】中国の科学者はこのほど、2次元遷移金属テルル化物材料の研究室での効率的な創製に成功し、研究成果を国際学術誌ネイチャー(電子版)に発表した。2次元遷移金属テルル化物材料は新しい2次元材料で、量子通信や触媒作用、エネルギー貯蔵、光学などの分野で幅広い応用が見込まれる。

 研究は、中国科学院大連化学物理研究所の呉忠帥(ご・ちゅうすい)首席研究員率いる研究チームと中国科学院深圳先進技術研究院の成会明(せい・かいめい)院士(アカデミー会員)、北京大学の康寧(こう・ねい)副教授が共同で行った。

 2次元遷移金属テルル化物材料は、テルル原子と遷移金属原子(モリブデンやタングステン、ニオブなど)から成る。ミクロ構造は遷移金属原子が上下両層のテルル原子に挟まれるサンドイッチ状で、2次元層状材料を形成している。

 呉氏は「2次元遷移金属テルル化物が珍しい物理・化学的性質を持っているのは、このミクロ構造による。多くの先端科学技術分野で大きな応用の可能性を秘めているが、長い間、質の高い大量創製を実現することができなかった」と述べた。

中国の科学者、2次元遷移金属テルル化物の効率的な創製実現

研究チームが創製した、2次元遷移金属テルル化物ナノシート。(資料写真、大連=新華社配信)

 研究では固相インターカレーション剥離法を創造的に採用し、インターカレーション試薬として水素化ホウ素リチウムを選択することで、安全で高効率かつ速やかなインターカレーション剥離を実現。この手法を使えば、研究室で100グラム級(108グラム)のテルル化ニオブナノシートをわずか10分で創製することが可能になる。従来の液相インターカレーション剥離法では、同じ条件で創製できるのは1グラムに満たなかった。

 研究チームはこの手法で、2次元遷移金属テルル化物のナノシート5種類と合金化物のナノシート12種類を創製。高性能な量子装置やフレキシブルエレクトロニクス、マイクロスーパーキャパシターなどの分野で大きな役割を発揮する可能性を示した。

 ネイチャーの査読者は、簡単でスピーディー、効率的な手法で、2次元材料の大量創製に対し汎用的な意義を持つと評価している。(記者/張泉、王瑩)

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