投資は元本保証ではないため、どうしても失敗(損失)のリスクがついて回ります。投資家にはさまざまな人がいて、投資手法も人それぞれですが、「成功し続けている投資家」には何か共通点があるのでしょうか? 本稿では、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が、投資初心者に向けて、成功し続けている投資家に共通した3つの特徴を詳しく解説します。
成功し続けている投資家の特徴(1)自分なりの手法を持っている
成功し続けている投資家の特徴として、まず、「自分なりの手法を持っている」という点が挙げられるのではないでしょうか。
投資家にもいろいろな人がいて、それぞれ投資の手法には向き不向きがあるでしょう。持っている知識や性格もそれぞれですし、運用資金量や、専業投資家か兼業かによっても手法は変わるはずです。ですから、そんな中で成功するためには、自分にもっとも適したスタイルを確立することが重要なのです。
たとえば、ウォーレン・バフェット氏は、師であるグレアム氏の「バリュー投資」を学び実践してきましたが、彼のバリュー投資はグレアム氏とまったく同じではありません。バフェット氏は、グレアム氏があまり評価基準にしなかった、企業のブランド力や成長性などを考慮した投資をしているといわれます。
そして、グレアム氏の他の教え子たちのバリュー投資もまた、バフェット氏とは違うようです。グレアム氏から同じ原則を学び、その教え子たちはそれぞれ成功をおさめながらも、投資する銘柄も、分散のしかたもバラバラなのです。
したがって成功するためには、それぞれの能力や状況に合わせた投資手法を確立していくことが、現実的には重要だと思われるのです。
成功し続けている投資家の特徴(2)負けると破滅するような賭け方をしない
また、「負けると破滅するような賭け方をしない」という点も成功し続けている投資家に共通する点ではないでしょうか。
というのも、どんな手法を用いようとも、投資に絶対はなく、あくまで未来を確率論的に予測するしかないからです。そして、そんな不確実な未来に賭けるのが投資なのですから、もし失敗してもやり直せる範囲でそれをおこなわない限り、いつかは破滅してしまうでしょう。仮に短期的に成功することがあっても、長期的に成功し続けることはできないはずです。
逆に、負けると破滅するような賭け方をして、破滅してしまった「LTCM」の例を挙げてみます。
LTCMは、ロングタームキャピタルマネジメントというヘッジファンドで、1994年から1999年までアメリカに存在していました。その運用チームにはノーベル経済学賞受賞者などがいて、高度な金融工学理論を駆使して、数年間は驚異的な運用成績を上げていました。
ところが、アジア通貨危機とロシア通貨危機が起き、大きなレバレッジをかけていたLTCMは、結局破綻します。理論的には大丈夫であったそのレバレッジですが、現実的には「負けると破滅するような賭け方」だったのです。たとえごく小さな確率の不運でも、それが起きることを想定して、高すぎるレバレッジをかけることは控えるべきだったのでしょう。
成功し続けている投資家の特徴(3)失敗してもそれをその後に生かす
そして、「失敗してもそれをその後に生かす」という点も成功し続けている投資家に共通する点ではないでしょうか。
誰しも失敗はするものです。しかし、成功し続ける投資家はそれを受け止めて分析するからこそ、同じミスをせずその後の取引の成功確率を高められるのでしょう。
一方、そうでない投資家は、失敗に落ち込むだけで何の分析もせずに、その後も同様のミスを重ねたり、失敗を続けてやがて市場から退場したりするのでしょう。
成功し続ける投資家は、失敗にもめげないものです。なぜならば、前述しましたが「投資に絶対はない」ことを理解しているからです。どんなに賢明な判断をしても、運が悪ければ誰だって損を出すことはあります。一方、判断を誤り、間違った取引をして損をして、後になってそれに気づくことも誰にでもあります。
長く投資をしていれば失敗はつきものなのですから、逆にそれを熟知した成功し続ける投資家は、前向きに投資を続け、失敗をその後に生かすことができるのでしょう。ひょっとしたら、失敗は自分を成長させる糧となる、ぐらいに思っているかもしれません。
自分を知り、慎重さを持ち、前向きな投資家が成功し続ける
今回ご紹介した、成功し続けている投資家に共通している点として挙げられるのは、以下の3つです。
- 自分なりの手法を持っている
- 負けると破滅するような賭け方をしない
- 失敗してもそれをその後に生かす
つまり、自分を知り、慎重さを持ち、前向きな投資家であることが、成功し続けるための秘訣だといえるのではないでしょうか。
川合 一啓
株式会社ソーシャルインベストメント
取締役CTO