久常涼の身体は「天然モノ」 マスターズ前週の21歳の“はじめて”

PGAツアーのルーキーイヤーを戦う久常涼(写真は初日)

◇米国男子◇バレロテキサスオープン 3日目(6日)◇TPCサンアントニオ オークスコース(テキサス州)◇7438yd(パー72)

次週のメジャー初戦「マスターズ」(ジョージア州オーガスタナショナルGC)に初出場する久常涼は、昨年DPワールドツアー(欧州男子)を通じて出場権を得たPGAツアーのルーキーイヤーを戦っている。キャリアをさかのぼると、21歳までに日本の下部、レギュラーツアーを経て着実にステップアップ。プロ4年目で、本格参戦したツアーは4つ目だ。

1月に飛び込んだ新天地は、DPワールドツアーに比べて「また1段階レベルが高い感じがする」と思う、きょうこの頃。毎週のように国を移動してプレーする欧州の難しさとはまた違う、選手層の厚さによる厳しさが米国にはありそう。今大会を迎えるまでに9試合に出場。予選落ちこそ3回だが、トップ10にはまだ届いていない。

次週の大一番を前に、久常は帯同スタッフを1人追加した。渡邊吾児也(あるや)トレーナーは、昨年現役を退いた女子プロゴルファーのイ・ボミ(韓国)らを支えた人物。昨年から日本に一時帰国した際に身体のケアを担当してもらっていた。1月からツアーが試合会場で提供するマッサージサービスを利用していたが、今週からの2連戦で初めて遠征中の帯同をお願いした。

久常は「自分は身体に対する知識含めて、『まだいいだろう』と思っていたのが正直なところ。でもこっちに3カ月ちょっと来て、体も結構ガタが来ていました」と明かす。「やっぱりこっちの“フィジオ”だけだと、自分のいいパフォーマンスを発揮できないかもしれないと思って」。トレーナーと一緒にツアーに参加するのは初めて。意識の変化を行動に移した。

久常涼を支える田渕キャディ(左)と渡邊トレーナー(右)(写真は練習日)(撮影/桂川洋一)

2013年から2年間、宮里美香に帯同して米女子ツアーでの日々を過ごした渡邊トレーナーに言わせれば、21歳の肉体は今のところ「天然モノ」だそうだ。周りの選手に比べて、ジュニア時代からウエートトレーニング等で積極的に作りあげてきたというよりは、「ゴルフをやることで付いた筋肉」が身体の多くを占める。

裏を返せば、伸びしろがたっぷりある状態。「自分と向き合って、考えて、ここまで来ていることがすごい。スイングも教科書通りではなく、自分なりに作りあげてきた優れた感性も持っている。身体の動くポイントや、おかしいところを感じたりする能力、全てに対して敏感であると感じる」とオリジナルの“下地”の良さを実感。今回のスポット帯同も参考にしながら、今後はトレーニングやケア、食事や睡眠等の生活習慣にも目を配っていく。

心躍るメジャーの舞台でも「僕の立場では少しでもポイントを稼いでいかないといけない」という久常は、松山英樹を除けば、2019年の小平智以来5年ぶりにPGAツアーのメンバーとしてマスターズに出場する日本人選手。オーガスタよりも、もっと先を見据えた取り組みを進めている。(テキサス州サンアントニオ/桂川洋一)

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