投手に故障者が続出 選手会がピッチクロック批判もMLB機構は反論

ゲリット・コール(ヤンキース)、スペンサー・ストライダー(ブレーブス)、シェーン・ビーバー(ガーディアンズ)、エウリー・ペレス(マーリンズ)など、投手に故障者が続出するなかで、MLB選手会はピッチクロックが故障の原因になっていることを示唆する声明を発表した。しかし、それに対してMLB機構は反論。「選手会の声明は、腕の怪我と高い相関関係にある球速とスピンレートの上昇という経験的証拠と数十年にわたる重大な長期的傾向を無視している」と述べ、ピッチクロックよりも投手の出力増大が故障につながっているとの見解を示した。

MLB機構は「誰も投手の故障を望んでいない」と前置きしたうえで、長期的なスパンでの故障者の増加について調査を行った結果、「ピッチクロックが故障を増加させたという主張を支持する証拠は見つからなかった」とした。ジョンズ・ホプキンス大学の調査によると、昨季投球間隔が短かった投手が長かった投手よりも故障率が高かったという証拠はなく、投球間隔を速めた投手がそうでない投手よりも故障率が高かったという証拠も見つかっていないという。

そもそもトミー・ジョン手術を受ける投手の割合は、ピッチクロック導入以前から右肩上がりの状態が続いていた。最大の原因とみられているのが球速のアップとスピンレートの上昇だ。なお、ジェームス・アンドリュース医師によると、ひじの故障の多発はプロの世界に限ったことではなく、アマチュア野球でも問題になっているようだ。まだ身体ができあがっていない時期から球速やスピンレートの上昇に執着するようになり、結果として靭帯へのダメージが増大。今ではプロよりも少年野球のほうがひじの故障が多くなっているという。

選手会は有走者時のピッチクロックを20秒から18秒に短縮することに反対しており、有力投手に故障者が続出したタイミングで声明を出すことによって、世間からのピッチクロックへの批判を高める狙いがあったのかもしれない。しかし、MLB機構側はデータをもとに「ピッチクロックと故障は無関係」との立場を取っている。現時点ではピッチクロックと投手の故障をダイレクトに結びつけるのは無理があると言わざるを得ないだろう。

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