「風呂道具 IN CAR」熱い思い前面、車ステッカー人気 これぞ風呂好き青森県民の証し?

「風呂道具 IN CAR」のステッカー
ステッカーを販売しているまちなかおんせんのフロントと高橋支配人

 車によく張られている「BABY IN CAR(ベビー・イン・カー)」のステッカーをもじって、青森県の公衆浴場文化を前面に押し出した「風呂道具 IN CAR」のステッカーが3月から県内で販売され話題を呼んでいる。印刷・販売業者は当初、千枚程度のプリントを想定していたが、反響の大きさに増刷を急いでいる。

 ステッカーは元々、県が制作した。県観光政策課の三上悠維(ゆい)主査が昨年夏、県外の人と話をしていた際、「車に風呂道具を積んでいる青森県民が多い。独特の文化ではないか」と言われ、青森県の公衆浴場文化を再認識する機会となったという。青森県は2020年の人口10万人当たりの公衆浴場数が22.9施設で、2位の鹿児島県(16.8施設)を大きく引き離している。

 天然温泉も多く、青森県が恵まれた環境にあることに県民に気付いてもらい、県外の人にも青森県の公衆浴場と独特の文化を効果的にPRしたい-と考えていたところ、ステッカー制作が「ひらめいた」(三上主査)。

 デザインは三上主査が自ら手がけ、青森県の地図に風呂道具を描き「風呂道具-」の文字を添えた。昨年12月中旬、県公衆浴場業生活衛生同業組合の組合員に15枚ずつ配布。交流サイト(SNS)のX(旧ツイッター)で発信し、浴場施設が希望した入浴客にステッカーを配ったところ年末までにほぼ在庫がなくなり、販売を求める要望も寄せられたという。

 「デザインが秀逸」と評価する、「天然温泉 青森まちなかおんせん」(青森市)などを運営するアットインの高橋宏征支配人が県と調整しながら商品化に奔走。知人の印刷業「こがわ」(三上直久社長)がプリントして3月18日から販売を始めた。

 販売場所は5日現在、青森、弘前、八戸の3市などの県内15施設。ステッカーを張った車の画像を見せると入浴料金が30円引きとなる特典を実施しているまちなかおんせんでは既に70枚ほど売れた。5日には一度に10枚も買う人がいた。

 県の三上主査は「注目してもらいありがたい。多くの人にステッカーを張ってもらい、浴場に足を運ぶきっかけになれば」、こがわの三上社長は「当初の想定以上の反響で増刷している」と手応えを語る。高橋支配人は「本県の公衆浴場文化を面白いと感じてもらい、それが新たな観光コンテンツに成長するのが一番の願い」と語った。

 詳しい販売場所は県が運営するXのアカウント「まるごと青森」で紹介している。

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