【MLB】守るべきは「時短」か「安全」か…ピッチクロックで選手会と機構側が全面対立

昨季サイ・ヤング賞に輝いたコールは左ヒジを負傷(ロイター=USA TODAY Sports)

MLBの選手会が6日(日本時間7日)、投手に故障者が増加していることを受け、MLB機構側が試合時間の短縮を目的に進めている「ピッチクロック」を批判した。

投球間隔に制限時間を設ける「ピッチクロック」は昨季から導入され、投手は走者なしの場合は「15秒以内」、走者がいる場合は「20秒以内」に投球動作に入ることが求められた。打者も「残り8秒以内」に構えに入らなければならず、制限時間を超えると投手には1ボール、打者には1ストライクのペナルティーが科せられる。

このルールが今季からさらに加速。投手は走者がいるケースで「20秒以内」から2秒短縮されて「18秒以内」と改められた。

こうした流れを受け、トニー・クラーク専務理事は「選手たちが満場一致で反対し、健康と安全に重大な懸念があったにもかかわらず、コミッショナーたちは昨年12月にピッチクロックの時間を短縮した」と抗議した上で「回復する時間が十分ではなく、肉体に与える影響への懸念が深まっている。前例のない脅威だ」と強く反発した。

メジャーでは昨季サイ・ヤング賞に輝いたコール(ヤンキース)が左ヒジを負傷し、ビーバー(ガーディアンズ)がトミー・ジョン手術を受けることが決まり、ストライダー(ブレーブス)も右ヒジの靱帯損傷で離脱がこの日発表された。

この声明に対し、MLB機構側は「投球間隔を縮めた投手が、そうでない投手よりも故障するリスクが高まるという証拠はない」と真っ向から対立。興行面からしても試合時間の短縮を進めたい機構側と、選手の安全を確保したい選手会側の意見は平行線をたどりそうだ。

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