藤田医科大学とNITE、エアコン内の真菌(カビ・キノコ)とアレルゲン情報を公開

藤田医科大学と独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、エアコンに存在するカビやキノコ類のタンパク質とアレルゲン情報を解析し、これらの情報をNITEが運営する「生物資源データプラットフォーム(DBRP)」上で公開したことを発表した。

アレルギー性喘息やアレルギー性気管支肺真菌症などの疾患では、真菌(カビやキノコ)を吸入することで症状が悪化する事例が報告されているが、室内の空気に影響を与えるエアコン内の真菌については知見が乏しい。そこで本研究は、カビを原因として喘息症状を起こすアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA:allergic bronchopulmonary aspergillosis)の患者宅のエアコンを調べ、どのようなカビやキノコ類が存在しているかを解析した。また、これらのカビやキノコ類が生成するアレルギーの原因となるタンパク質(アレルゲン)についても解析した。

その結果、人に対して病原性を持つAspergillus属を含む複数のカビがエアコンから分離・同定された。プロテオーム解析では、これら菌体および培養液からタンパク質を同定し、同定されたタンパク質やアレルゲンの情報はDBRP上で公開した。

実際にエアコン内から採取されたカビやキノコの菌体および培養液から検出されたタンパク質やアレルゲンの情報は、エアコンや空気清浄機等のフィルターの改良などに貢献できると期待される。また、一般臨床でのアレルゲン検査にも活用されれば、診断不能だった患者が診断可能となったり、アレルギー性喘息やアレルギー性気管支肺真菌症の発症前の早期発見、重症化予防、病態の解明等にもつながることが期待されるとしている。

参考:

【藤田医科大学】エアコンから採取されたカビのアレルゲン情報公開 ~タンパク質解析技術により、カビのアレルギー原因究明に貢献~

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