中国残留婦人の祖母の生涯を語る 埼玉の巻口さんが講演 群馬・前橋市

祖母のシズさんについて語る巻口さん(中央奥)

 戦時下の国策で旧満州へ渡った農業移民「満蒙(まんもう)開拓団」のうち、戦後に現地に残った中国残留婦人を祖母に持つ巻口清美さん(58)=さいたま市=の講演が6日、群馬県前橋市大胡公民館で開かれた。巻口さんは、生きるための選択を数多く迫られた祖母、シズさんの生涯を紹介した。

 巻口さんは中国北東部の黒竜江省で生まれ、16歳の時に来日。中国残留邦人の体験を語り継いでいる。祖母のシズさんは新潟県生まれ。夫と5人の子どもと1942年に開拓団の一員として満州へ移った。

 夫は終戦直前に召集を受け出征。避難のため子どもと中国国内を転々とする中、女手一つでの限界を感じ中国人男性の妻になったという。巻口さんは「今を生きるための決断だった」と祖母をおもんぱかった。

 首都圏中国帰国者支援・交流センター(東京都)の安場淳さんも講演。残留孤児・婦人の子どもや孫の世代でも高齢化が進み、日本語に苦手意識を持つ人も少なくないとして、話してもらう場を積極的に作る重要性を強調した。

 講演は群馬満蒙開拓歴史研究会(東宮春生代表)が主催。次回は5月25日、同公民館で東宮代表が講演する。

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