犬が飼い主の後ろをついてくる理由 行動の心理や対処法を獣医師に聞いた

飼い主さんの後ろを、愛犬がずっとついてくることはありませんか?犬の飼い主さんに「愛犬は飼い主さんの後をついて回る行動をするか」についてアンケート調査を実施。犬が後追いする心理と対処法について、いぬのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生に伺いました。

約9割の飼い主さんが体験している「愛犬の後追い行動」

引用元:愛犬の後追い行動についてアンケート(いぬのきもちWEB MAGAZINE)

2023年6月に「いぬのきもちアプリ」内でアンケートを行ったところ、約9割の飼い主さんが「愛犬が後をついて回る行動をすることがある」と回答しました。

飼い主さんに聞いた!愛犬の後追い行動エピソード

引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー

さらに、どんなときに飼い主さんの後をついて回るのか、愛犬の後追い行動エピソードを教えていただきました。

  • 「食べ物を持っているとき、おやつがほしいとき、留守番が終わってかまってほしいときなど、ずっと後をついてきます」
  • 「トイレに行くとき必ずついてきます。トイレのドアの前に寝転んで待っているので、開けるときはそ~っと開けます」
  • 「特に朝の出勤前など。用意しているとついてくる」
  • 「2階に行こうとしたらついてきました。階段はのぼれないので階段の下で待っていました!!」
  • 「毎朝おはようのあいさつ(なでる)をするまで、どこまでもついてくる」

【獣医師解説】愛犬の後追い行動の心理と対応方法

引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー

ここからは愛犬の後追い行動の心理や「分離不安症」との違い、対処法について、いぬのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生に解説していただきます。

後追い行動の心理・分離不安症との違い

――後追い行動が見られるときの犬の心理を教えてください。

白山先生:
「犬の後追い行動は、『寂しい』『甘えたい』と感じているときや、不安や緊張、ストレスを感じているときなどによく行われます。また、『遊んで』『ごはん』などの要求を伝えるために、後をついて回っている場合もあるでしょう。犬の後追い行動は、飼育されている犬ではどの年代でも見られることがありますが、特に子犬期に多いといわれています」

――分離不安症と問題ない後追いの違いを教えてください。

白山先生:
「常に飼い主さんのそばを離れようとしない場合や、少しでも飼い主さんの姿が見えなくなると不安になったり、問題行動(愛犬が自身を傷つける行為、留守中にクッションや家具等の破壊行為など)を起こしたりする場合は、分離不安症の可能性があります。反対に、何か伝えたいことがあるときや甘えたいときなどは後追いしてくるものの、1頭で過ごすこともでき、常にべったりくっついてくるのでなければ、問題ないことが多いです。

愛犬が分離不安症にならないためには、ふだんから愛犬としっかりと遊んでコミュニケーションをとり、信頼関係を築きましょう。1日の様子をよく観察し、愛犬の性格を理解して気持ちをくみ取ってあげることも大切です。そのうえで、ふだんから飼い主さんと離れて過ごす時間をつくり、1頭でお留守番する練習も少しずつしておきましょう。飼い主さんが相手をできないときは、心を鬼にしてかまわないようにすることも、愛犬を分離不安症にしないために必要なことです」

愛犬が後追い行動をするときの対処法

――愛犬が後追い行動をしてくる場合、飼い主さんはどのような対応をすればいいか教えてください。

白山先生:
「まずは愛犬がどのような気持ちで後追い行動をしているのかを察してあげるようにしましょう。その理由によって対応も違ってくるかと思います。

『寂しい』『甘えたい』という場合には、飼い主さんと接する時間が足りていないと感じていることもあるので、愛犬との遊ぶ時間が足りているか、お留守番の時間が長くなっていないか見直してみてください。

『遊んで』『ごはん』などの要求を伝えるために後追いしている場合は、そのまま要求に応えるのではなく、決まった時間まではごはんを与えない、『おすわり』などのコマンドに従ってからなど、飼い主さん主導での対応をしましょう。

不安や緊張、ストレスによる後追いの場合は、環境の変化など、愛犬に何らかのストレスがかかっていないか考えてあげてください。そして可能な限りその要因を取り除くようにし、愛犬が安心できる環境を整えてあげましょう。また、一緒に遊んであげられるときは思いっきり遊び、ストレスを発散させてあげるようにもしてください。子犬の場合は、生活音などの刺激に少しずつ慣らしていくとよいでしょう」

愛犬が後追い行動をするのは、かまってほしいときや何か要求があるとき、ストレスを感じているなど、さまざまな理由があるようです。ふだんから愛犬をしっかり観察し、コミュニケーションをとるよう心がけましょう。

(監修:いぬのきもち獣医師相談室 獣医師・白山さとこ先生)
取材・文/宮下早希
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

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