川島零士×本渡楓、2人がいま追求していることとは?

川島零士×本渡楓

声優の川島零士と本渡楓が、TVアニメ『夜桜さんちの大作戦』(MBS/TBS系全国28局ネットで4月7日午後5時〜放送スタート)に出演。本作の主人公で極度に人見知りな高校生、朝野太陽を川島零士、スパイ一家・夜桜家の10代目当主の夜桜六美を本渡楓が演じる。本作は「週刊少年ジャンプ」で連載中、権平ひつじ氏が描く愛と笑いのスパイ家族コメディ。インタビューでは、どのような姿勢でそれぞれの役に臨んでいたのか、2人がいま追求していることについて、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

過去の自分に負けない

――お2人は本作のボイスコミックやボイスカレンダーもやられていましたが、どのような気持ちでアフレコに臨みましたか。 川島零士

ボイスコミックに参加させていただいたのは、4年ほど前のことなのですが、この期間にお芝居も成長したので、昔の自分との闘いみたいなところもありました。ボイスコミックを改めて聞いてみると、その時の良さもあるのですが、それを経て今の自分だったら何ができるのか、昔の自分には負けられない、と自分にプレッシャーをかけて今回やっていたところもありました。役柄も相まって絶対に器用にやらないように、泥臭く踏ん張って一歩前に進んでみようと意識して演じました。 本渡楓

ボイスカレンダーはオーディションだったのですが、私は何役か受けさせていただいたなかで、六美のご縁をいただきました。きっといつかアニメ化されるんだろうなと思っていて、そのとき私はオーディションを受けられるのかな?

とか考えていたのを覚えています。それからちょっと経ってアニメ化が決定して、オーディションに参加できることになりました。ボイスカレンダーの頃よりも六美をさらに理解して、改めて演じ直すというのは今までに経験したことがなかったので緊張しました。いま零士くんが言っていた「過去の自分に負けない」というのは、まさにそうだなと思いました。

――ボイスコミックとボイスカレンダーを経て、今回同じ役を演じることで新たな気づきや発見はありましたか。 川島零士

ボイスコミックは3話ぐらいしか収録しなかったので、その3 話の中で完結するようなお芝居のやり方をしていたかもしれないです。今回はアニメで、ボイスコミックより長くやることになりますから、太陽のバックボーンもより深く理解して挑んでいますし、動きのある映像がつくと印象が違うので、自然とアプローチも変わるという発見がありました。 本渡楓

ボイスカレンダーでは、いま演じているキャラクターはどんな表情になっているのか、自分たちキャストが噛み砕いて提示してから、ディレクションをしていただいていました。ボイスカレンダーの時は 1人ずつ個別で収録だったので、今回キャストさんと一緒に掛け合いで録ることができるとなった時に、六美の兄妹たちとやり取りの中で表現の発見もありつつ、皆さんから刺激を受けました。改めて魅力だったり、六美はこんな顔で見守ってたんだといった発見もあったので、また別作品の収録をしているような気持ちでした。 川島零士

俯瞰して見た時に、太陽はこうした方がより作品に映えるなとか、全体のバランスを見てより深いところまで行けたのは、アフレコでキャストの皆さんと一緒に掛けあったからこその発見だったと思います。

――キャラのことを考える時間が増えると、より好きになっていきますよね? 川島零士

どんどん好きになります。キャラとの共通点を探したり。えーでちゃん(本渡楓の愛称)はそういうことする? 本渡楓

共通点探します!

たとえば私の宣材写真の前髪をちょっと左にしたら「これってほとんど六美じゃん!」とか言い聞かせてみたり(笑)。また、こうやって取材をしていただいたり、何かイベントがある度にキャラクターのことを考える時間が増えていくので、どんどん好きになっていきます。 川島零士

本当にインタビュー、こういった取材では人数が増えれば増えるほど各々の役の考え方みたいなものを聞けるので、自分が演じるキャラのこともより深く知れて、さらに愛着が湧きます。

――川島さんご自身が太陽と似ているなと思うところは? 川島零士

以前は自分と太陽はあまり似ていない、近くないと思っていました。それは僕は器用貧乏な方で、なんでも割とうまくやれていると思っていたからなのですが、去年そうでもないと思うことがあって(笑)。

――それはどんなことですか。 川島零士

とあるイベントでMCをさせていただいたときのことでした。自分では器用にできていると思っていたけど、あの時はとても不器用でした(苦笑)。そのとき初めて自分は太陽と近い部分があるなと思いました。

――お2人は今回が初共演。お互いの印象はいかがでした? 川島零士

最初お会いしたときは、「そのコラボバッグ持ってるの声優さんでいないでしょ!? 」みたいなことを話したのを覚えています。そのバッグを女性が持っているのはなかなかの破壊力があると言いますか(笑)。第一印象は豪快な方だなと思いました。 本渡楓

あはは(笑)。きっと皆さんどんなバッグなのか気になってしまうと思いますが、すごく機嫌がいい日に勢いで買ったバッグです(笑)。私は共演する前に零士くんってどんな方だろう?

とネットで調べました。他の作品で主演をされた時のインタビュー記事を見て、キャラクターの役作りノートを作っているというのをお見かけして、すごく真面目な人なのかなと思いました。実際お会いしたらイメージしていた感じと全然違って面白い方でした。最初は「最新刊の何ページの何コマ目ってどうでした?」とか、聞かれたらどうしようって思ってました(笑)。 一同(笑)。 本渡楓

インタビューも今回初めて2人でやらせていただいているんですけど、今日でいろいろ知れました(笑)。

――ところでちょっと気になるところがありまして、今日ペアルックですけど、どんな経緯があったんですか。 川島零士

これは自分の私服で、赤と白のデザインがかわいいなと思い、この服を買いました。

――自前の服なんですか? 川島零士

はい。自前です。 本渡楓

零士くんが「これすごく太陽と六美っぽくない?」みたいなメッセージが来て、「良かったら取材の日に着ない?」って。そんなこと言われたの初めてだなと思いながら、私物の服に袖を通してもいいのだろうかと、ちょっと悩みました(笑)。まだタグもついているんですけど、衣装提供をしていただいて、今回零士くんが私のスタイリストさんみたいな感じなんです。2人で写真を撮った時もかわいい夫婦、タッグ感が出ていてすごくいいなと思いました。 川島零士

『夜桜さんちの大作戦』はコメディ部分もとても魅力的なので、このトラさん達が SNSなどに流れてきたら、めちゃくちゃおもしろいなと思って。ビジュアル、視覚からも攻めたいなと思いました。

2人が追求していることとは?

――原作マンガがある作品とアニメオリジナル作品との違いはありますか。 川島零士

原作マンガがある作品は、原作を大切にすることは大前提としてあって、シーンごとに原作の雰囲気を少し混ぜた方がより魅力が伝わるかもとか、ちょっと原作よりも派手にしたり、逆に抑えてやった方がいいなど、シーンによって変えています。基本、僕の意図だけでやらないように心がけています。 本渡楓

アニメオリジナル作品は、原作がある作品以上に共演者の方とディスカッションをして、スタッフさんなどチームで育てていくような印象があります。自分の頭の中ですごく想像を膨らませることが多いんです。コミックスで原作がある場合、絵がキレイに描かれているので、それを道標にすることができます。先々のことも知ることができるのも原作ならではです。

――それはイメージしやすいですよね。 本渡楓

役によっても変わるのですが、先のことを知っておいた方がいいのか、といったらそうでもなくて。何か魂胆があるキャラクターのときは知っておいた方がいい場合もありますが、ここもまた人によってわかれるところだと思います。また、私は原作を意識してセリフを覚えるほど読み込んでしまうと、その顔の芝居をしてしまうことがあります。それは決して悪いことではないのですが、よりアニメとして表現を広げたい場合に、自分自身がそれにとらわれてしまう感覚があって、原作ありの作品と、アニメオリジナルの作品の違いを現場で感じることがあります。どちらにも良さがあって、難しさもあるなと感じています。

――今お2人が追求していることは? 川島零士

たくさんあるのですが、ちょっと面白い人になりたいと思い、追求しているところです。実生活みたいなものがお芝居に反映されるところもあるんです。ご一緒する方たちや、現場の雰囲気など、どこまでよくすることができるのか、「楽しい現場だった」とみなさんに思ってもらえるかみたいなところを極めたいと思っています。それはエゴかもしれないんですけど、やっぱり楽しくやりたいというのが大きいです。人って自分を大事にされている、相手に気にかけてもらえているときはすごく嬉しいと思います。できるだけそういう言動や行動みたいものを心がけたいと思っています。

――本渡さんはいかがですか。 本渡楓

個性です。いろいろなタイプの声優さんがいて、私がやる意味のある声優になりたいと思っています。最後まで誰だったのかわからなかった。この人だったんだ!

というのもすごく素敵ですし、そういう声優さんを目指す方もいらっしゃいますが、私の場合はお芝居もしくは声で気づいてもらえるような役者になりたくて。自分の個性を大事にステップアップして、かけがえのない存在になれたらいいなと思っています。それは声優さんがたくさんいる世界だからこそ、そう思いました。

――ちなみに川島さんはどのような声優を目指していますか? 川島零士

「それ、川島しかできないよね」という声優を目指しています。特に去年の後半あたりから、今まで以上にそれを探すフェーズに入っているかもしれないです。この仕事は時間をかけてやってきていますし、もしかしたら自己満足の世界かもしれないのですが、自分はどこまでいけるのか、みたいなところがあります。 本渡楓

自分だと気づいてもらうために作品やキャラクターを踏み台にするようなことだけは絶対にしないのですが、役を演じていても自分らしさがにじみ出る、伝わるぐらいの声優になりたいです。 (おわり)

番組情報

TVアニメ『夜桜さんちの大作戦』 4月7日から毎週日曜午後5時~MBS/TBS系全国28局ネットにて放送開始 Prime Video/Netflixにて毎週日曜午後5時30分~見放題最速配信 ⓒ権平ひつじ/集英社・夜桜さんちの大作戦製作委員会・MBS 『夜桜さんちの大作戦』原作コミックス最新23巻&ノベライズ第2弾発売中

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