霜降り明星・粗品『オールスター感謝祭』3度目の優勝 異例づくしの快挙

MCの島崎和歌子も、思わず「獲りすぎだよ」とつぶやくしかなかった。

6日に生放送された『オールスター感謝祭’24春』で霜降り明星の粗品が優勝。2022年春、23年秋に続いて3度目の栄冠をつかんでいる。

番組改編期にTBSで放送されてきた『オールスター感謝祭』は今回で65回目。過去の最多優勝者は4回のそのまんま東だが、粗品は過去5回のうち3回優勝という結果を残しており、最多記録に大手をかけることになった。

この『感謝祭』における粗品の活躍は、決して偶然ではない。21年秋の『感謝祭』で3位に入ったことで火が付いた粗品は、以降『感謝祭』で優勝を狙うと公言。続く22年春に初優勝を果たすと、さらに『感謝祭』への思いがヒートアップし、パーソナリティをつとめるラジオ『霜降り明星のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)では毎回のように「感謝祭のオファーはまだか」とマネジャーを問い詰めたり、『感謝祭』を模したコーナーを立ち上げて対策を練るなど、芸能界一の『感謝祭』フリークとなっていった。

そもそも『感謝祭』はTBSの番組をPRするために各番組の出演者や有名スポーツ選手を呼んで盛り上げる“お祭り”番組であり、出演者が本気で優勝を狙うような性質の番組ではなかった。

だが、粗品の「『感謝祭』をガチで勝ちにいく」という姿勢は周囲を触発し、粗品が初優勝した22年春の次の22年秋大会ではニューヨークの屋敷裕政がやはり徹底的に対策を練って出演し、優勝を果たしている。

以降、『感謝祭』側が微妙にレギュレーションを変更すると粗品がそれに対応するというイタチごっこともいえる状況が続いており、文字通り芸能界の「オールスター」が集合する『感謝祭』で、粗品は完全に主役の位置に座っている。TBSにレギュラーを持たない粗品が『感謝祭』に呼ばれ続けているのが、その何よりの証拠だろう。以前より「『感謝祭』のレギュラーになりたい」と熱望していた粗品だったが、実力でその地位を獲得した形だ。

3回目の優勝だけでもじゅうぶんに異例だが、今回は同時間帯にフジテレビで『新しいカギ』のレギュラー放送もあり、完全なる「裏かぶり」となっていた。『新しいカギ』は今年の『27時間テレビ』総合MCを担当するなど、現在のフジテレビの“顔”ともいえる番組である。そのメインキャストがTBSの特番に同時に出演することもまた、極めて異例である。粗品は放送前にX(旧Twitter)で「オールスター感謝祭も新しいカギもどっちも見て下さい」とポストしているが、吉本興業とフジテレビの間で相当な折衝があったことは想像に難くない。

粗品の登場で、『感謝祭』は大きく形を変えた。今回は業界の不文律である「裏かぶり」問題も軽々と乗り越えて見せた。

今の粗品は、まるで芸能界をひとつずつハックしていっているように見える。どんな未来が見えているのだろうか。その『新しいカギ』は、粗品の手の中にあるのかもしれない。

(文=新越谷ノリヲ)

© 株式会社サイゾー