2024年4月7日、国立競技場で開催された鹿島とのホームゲームでFC東京は2-0で勝利した。
鹿島との契約で目下絶好調の荒木が不在となったCFに仲川を抜擢したFC東京は、立ち上がりこそ鹿島に攻め込まれるシーンがあったが、時間の経過とともに盛り返す。とはいえ、試合の主導権を握ったわけではなくて、決定機を作ったわけでもない。
鹿島の前線からのプレスに苦しんだFC東京は仲川や俵積田の個人技頼みの傾向が強く、連動した攻撃を展開できずにいた。それでも前半を0-0で終われたのは守備陣の踏ん張りがあったから。前節の浦和戦でも機能していた4-4-2に近い形で嵌める守備はポジティブな要素と言えるだろう。
耐える時間帯を粘り強い守備で凌げたからこそ、2-0で勝てたと捉えることもできるだろうか。0-3と完敗を喫した川崎戦から切り替えの速さは改善された印象で、強固な守備をベースに手数をかけずに攻める堅守速攻型のチームになりつつあるように映る。実際、鹿島戦の決勝点も手数をかけない展開から松木のクロスを仲川がヘッドで押し込んでいるのだ。
試合後、守備についてボランチの高に聞くと、勝因として計算された試合運びが見えてきた。
「鹿島が3連戦でメンバーをあまり代えてなかったので、前半は向こうの体力を削りたくて(ボランチの位置を低くした)。鹿島はゲームを壊すサッカーをしてくると思ったので、僕的には前半を0-0で終われたのはポジティブでした。90分のゲームコントロールじゃないですけど、(後半から)徐々に行くのは悪くなかったと思います」
また、2アシストを決めた松木もボランチやDF陣の奮闘を評価していた。
「自分はあまりプレスに行けてなかったので、どちらかと言えば自分より後ろの選手たちが頑張ってくれました。ボランチ(高と小泉など)の守備力、センターバック(土肥、H・トレヴィザン)のはね返す力が素晴らしかったと思います」
この守備力を基盤に勝負強さを発揮したのが、鹿島戦のFC東京だった。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)