杉咲花、「指折りの傑作を作りたい」と『アンメット』に意気込み 若葉竜也に直接出演交渉も

4月15日22時よりカンテレ・フジテレビ系で放送がスタートする『アンメット ある脳外科医の日記』の制作発表会見が4月7日に都内で行われ、杉咲花、若葉竜也、岡山天音、生田絵梨花、千葉雄大、吉瀬美智子、井浦新が登壇し、ドラマの舞台裏を語った。

記憶障害の脳外科医・川内ミヤビを演じる杉咲は「『アンメット』に関わる方々と何百時間、言葉を交わして来ただろうと思うと、ちょっと胸の奥がじんとします。一昨年、プロデューサーから映像化への思いを伺い、今日まで過ごしてきました。とても素敵なシーンが撮影されているように感じていて、もうすぐ放送されると思うと息が速くなるような気持ち」とこの日を迎えた心境を語った。

若葉が演じるのはアメリカ帰りの脳外科医・三瓶友治。杉咲を「ド緊張してますね。もっと声が小さくなってくると思うのでお楽しみに」といじって笑わせた。出演の決め手について「プロデューサーの熱い思いに応えたいなと思いました。そのちょっと前に杉咲さんから電話がかかってきて、『やるよね』とプレッシャーをかけられた」と若葉。杉咲も「本当に三瓶先生の役がピッタリだと思ったんです。若葉さんしかいないと思って、気付いたら電話しちゃってました」と経緯を明かした。

フジテレビ系連続ドラマ初主演にして初の医師役となる杉咲だが、岡山によるとクランクインで存在感を感じたそう。「生田さんと二人きりのシーンだったんですけど、段取り前に現場を見渡したら、隅っこの方に杉咲さんっぽい人がいて一気に緊張しました(笑)。一番ハードなポジションなのに、休養に充てる時間を僕らのシーンに顔を出してくださったのは、これまでの現場でもなかったなって。そこで“座長パンチ”を食らいました」と冗談を交えて話した。

若葉も「数少ない本当に頼りにできる座長。僕は4本目の共演になるんですけど、役者としても、人間としてもすごく信頼しています」と杉咲の座長ぶりを称えた。そんな杉咲は、若葉に「人が疑わないところを疑って、見過ごしてしまうところに感動や幸福を見つける方。そんな若葉くんの感覚をものすごく信じてるし、自分たちにない視点で作品を捉えてくれる心強い存在」と全幅の信頼を寄せた。

ミヤビたちが勤務する丘陵セントラル病院救急部長・星前宏太役の千葉は、今作で本格的に医療シーンに挑む。医療ドラマならではの大変さを聞かれ「医師の先生方に教えていただきながらやっています」と報告。若葉は「クランクインの何カ月も前に実際に病院に行って縫合の練習をやっていたんですけど、撮影前日にその方法ではないものが必要になったんです。擬似血管を使った吻合のシーンを撮ることが決まった瞬間、杉咲さんは撮影が終わってからずっとスタジオにこもりっきりで練習して、実際の映像をご覧になった医療指導の先生たちが度肝を抜かれることがありました」と撮影中のエピソードを紹介。千葉も「間近で見て奮い立たされるような一生懸命さ」と技術習得にかける真剣さに打たれたと話した。

杉咲は、若葉に対して「困ったことに、若葉さんはコツをつかむスピードがものすごく早くて、縫合や吻合練習でも、私がすごく時間をかけてやっとできるようになったことを、『ちょっとやらせて』と言って(道具を)貸した瞬間にできちゃったんです。本当にやめてほしいなと思います」と笑顔でクレーム。若葉が「僕は吻合シーンが今のところないので、何のプレッシャーもなくできるんです。撮影となると、手の震えや緊張との戦いになるので、それを乗り越えるのは、そんじょそこらの女優さんにはできない」と持ち上げ、「手先が器用ですみません」と言って笑わせる一幕もあった。

ミヤビの主治医・大迫紘一を演じる井浦は、「自分が在籍する関東医科大学病院では、手術道具が一切現場にないんですよね。だから吻合練習とかめちゃくちゃしたいですけど、全く道具を触らないまま、数日後に手術シーンに突入するというすごく危険な状態にいます」と危機感を募らせる。植物好きの大迫について「ただ自分が好きな植物を集めるのではなく、枯れかけたり、捨てられていらなくなった植物を治して育てるのが好きなんですよ。自分も植物好きなんですけど、とっても素敵だな」と共感を寄せた。

最後に、杉咲は「昨今不安なことだらけだなと感じていて、同じように感じる方も多いと思います。『アンメット』は直訳すると“満たされない”という意味ですけど、自分が恐怖に感じることや苦手なことを、そばにいる人が理解したり、想像しようとしてくれるだけで、自分のことをもう少しだけ受け入れてみようと思ったり、明日のことを考えてみようと思えるんじゃないかなと思って。そんなふうに光に包み込まれるドラマになったら」と作品への期待を述べた。

さらに「今作に関わる全員が血のにじむような思いで毎日を過ごしていて、良い作品になるなら険しい方の道を選ぶような気概のある現場でものづくりができることを幸せに感じる日々です。今までもこれからも本当にたくさんのドラマが作られてきたと思うんですけど、指折りの傑作を作りたいと恥じらいもなく言ってみたい気持ちです。ぜひ期待してもらえると嬉しいです」と呼びかけて締めくくった。

(取材・文=石河コウヘイ)

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