「こんな不気味な夢見たことある気がする」古びたエレベーターで異常な体験。リアル過ぎる映像作品が話題

昭和の雰囲気が漂うデパートの荷物用エレベーターに乗ったら、奇妙な世界に迷い込んでしまった!リアルなCGで描かれた不気味な映像作品が、SNSで3月上旬に公開されて注目を集めています。
X(旧Twitter)に投稿された46秒のショートバージョンは約1万1000件の「いいね」を集め、YouTubeに投稿された3分間のロングバージョンにも注目が集まっています。

作品を手掛けたのは、CGクリエイターのたいら かける(@taira__kakeru )さん。これまでも誰も居ない地下鉄の車内や古本がぎっしりと並べられた書店など、CGソフト「Blender」を使った実写のようにリアルなCG映像で「不気味な空間」をテーマにした作品を披露しています。
そんなたいらさんの新作が、今回の「 Backrooms in Japan - #1(Found Footage) 」。
人の気配がないデパートで貨物用エレベーターに乗ったことをきっかけに、存在しないはずの地下空間に迷い込んでしまうという不気味な映像作品です。

Backroomsというジャンルとは?

これは、Kane Pixelsの2022年の動画「The Backrooms (Found Footage) 」に代表される「Backrooms」というジャンルへのオマージュです。
日常の中で不意に迷い込んだ地下世界で恐ろしい体験をするという内容で、海外で人気があります。「もし舞台が日本だったら」というテーマで和製ホラーのエッセンスを追加しました。
薄暗い廊下、古びた案内板、どこか懐かしいポスターなど、いかにも昭和なデパートはすべてBlendarを使用したCGで、映像の手ぶれ表現にはCamera Shakifyを使用しているそうです。
まるで実写のような緊迫感が伝わってくる映像に、Xでは「こわい」「なかなかホラーですね」「しばらく1人でエレベーターに乗れなくなりました!」「こんな不気味な夢見たことある気がする」といった声が寄せられ、Backroomsファンのみならず多くの人々を魅了しています。

「何も出てこない恐怖表現を意識」動画の作者が語る狙い

和製Backroomsといえる映像を作り上げたたいらさんに、BuzzFeed編集部は制作に至った経緯や今後の展開などを聞いてみました。
――「Backrooms in Japan」の動画を製作した経緯を教えてください。
単調な黄色の壁紙とカーペットによりランダムに区分けされた空っぽな無人空間である「Backrooms」を描いた作品群は以前から興味がありました。
Youtubeで見ていたのですが、Backroomsに迷い込んでしまうまでの導入部分に着目した作品をあまり見かけたことが無かったので、日本の見覚えのあるような空間と海外で有名になったインターネット都市伝説を掛け合わせたら異様な世界観が出来上がるのではないかと考えました。
――映像中に流れるBGMには何を使用しましたか?
VSQ plus+さんの『VSQ MUSIC 0051 / スムース』というBGMを使用しています。
――映像内のデパートや地下空間にモデルはありますか?
特定のモデルはありませんが、約10年前に住んでいた街のデパート旧館のトイレに続く通路を参考にしています。
道幅や蛍光灯の明るさが異様な雰囲気を漂わせていて、なんともない空間なのですが今でも印象に残っており、その記憶からデパートの通路を題材にした作品を以前から制作したいと考えておりました。
デパート通路のトイレの奥にある「従業員以外立ち入り禁止の区域で不可思議な現象が起きたら面白そう」という想像からBackrooms導入部分の題材に選びました。

たいらさんの動画「Backrooms in Japan - #1(Found Footage)」より / Via youtube.com
たいらさんの動画「Backrooms in Japan - #1(Found Footage)」より / Via youtube.com
たいらさんの動画「Backrooms in Japan - #1(Found Footage)」より / Via youtube.com

――製作にはどれくらいの時間を費やしましたか?
1週間くらいかかりました。
――YouTube版のタイトルが「Backrooms in Japan - #1」となっていますが、続編の予定はありますか?
まだ詳細な展開は未定ですが、エンティティ(Backroomsの作品によく登場する謎の“実体“)の登場やジャンプスケア(観客を怖がらせるための大きな音などの演出)の無い、出来るだけナチュラルなBackroomsの雰囲気を生かした作品を制作したいと考えています。
――「何も出てこないのにとても怖い」という反響が出ていることについてどう感じますか?
何も出てこない恐怖表現を意識して制作をしているので、そのような感想コメントを頂けてとても嬉しいです。
――制作する上で特に注意したことはなんでしょう?
BGMや効果音、そして視点のブレを通じて、デパートの日常風景からBackroomsに迷い込む人間の精神状態の変化を表現することに重点を置いて製作しました。
――これまでの作品も含め、どれも不気味さを感じさせる無人スペースがテーマになっていますが、こうした空間に心を惹かれる理由は何ですか?
作中に人間を登場させてしまうと、その人の性別、国籍、身長、体重、見た目などあらゆる情報を設定しないといけない為、作品を見た時に想像する余地が無くなってしまいます。
作中の家具の配置や、汚れなどの生活感から、作品を見た人が今までの経験則から各々で住人や利用者の設定の想像を膨らましていただくことに価値を感じています。
――同じくリミナルスペースを舞台にしたコタケノトケケさんの『 8番出口 』というゲームがありますが、同じ作り手として意識することはありますか?
私は普段ゲームを全くしないのでプレイはしていないのですが、YouTubeでゲーム実況動画を楽しく拝見しておりました。
ゲーム制作というあらゆる制約がある中で、ポスターや案内看板、分電盤室など誰もが駅構内で一度は見たことのあるような要素をリアルに作り上げ、出口のない1本道に詰め込むという発想がとても興味深く感じておりました。
先日発表された次回作の『 8番のりば 』のティザーも拝見しましたが、前作より不気味さが増した作品になっていたので今後もコタケノトケケさんの活動を楽しみにしております。

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