【台湾】台湾東部沖地震、死者13人に[社会] 花蓮で震度6強、6人が行方不明

3日午前7時58分、台湾東部の花蓮県沖を震源にマグニチュード(M)7.2の地震が発生し、花蓮県で最大震度6強を観測した。内政部(内政省)消防署によると、7日午前8時までに同県で13人が死亡。台湾全域の負傷者は1,133人に上った。行方不明は6人で、内政部はトルコからの救助隊を受け入れ、花蓮県を中心とする景勝地、太魯閣国家公園(タロコ渓谷)での捜索を強化している。台湾行政院(内閣)は、見舞金をはじめとする30項目の措置を発表した。

台湾メディアによると、1999年9月21日に南投県を震源に発生したM7超の地震以来、最大規模の地震となった。台北市や新北市、桃園市、新竹県などの最大震度は5弱となり、台湾のほぼ全域で揺れを感じた。中央気象署は3日に津波警報を発令。その後、津波は既に沿岸部に到達し、脅威はなくなったとして、 同日午前11時10分に解除を発表した。

中央気象署によると、7日午前7時ごろまでに681回の余震があった。うちM6以上は2回。M5以上M6未満は24回、M4以上M5未満は208回、M3以上M4未満は447回だった。

7日午前8時までに花蓮県では死者13人と負傷者238人を確認。このほか各地の負傷者は◇新北市:286人◇台北市:212人◇桃園市:127人◇宜蘭県:80人◇新竹市:42人◇台中市:38人◇新竹県:30人——など。

行方不明の6人のうち、7日までに3人の遺体を発見した。残る3人のうち1人は、花蓮県秀林郷の鉱区で行方不明となったが、土砂崩れや落石の影響で作業が進められず、捜索方法を協議している段階という。

ほか2人はシンガポール籍の旅行者で、3日朝に太魯閣線の観光バスに乗車。下車した場所は当初不明だったが、車内の映像を解析したところ、地震が発生する約40分前にタロコ渓谷の砂カ礑歩道(カ=上の下にト)の近くでバスを降りていたことが分かり、内政部長(内相)で中央災害対応センターの林右昌指揮官が全力で捜索するよう指示した。

全域の建物や道路、インフラなどの損壊といった被害の件数は7日午前8時までに2,797件に上った。2,060人が避難しており、20カ所の避難所では376人を収容している。

■トルコの救助隊が協力

内政部によると、救助活動にはトルコの救助隊も参加する。救助隊の7人は6日夜に花蓮に到着した。中央通信社によると、無人機(ドローン)を用いて行方不明者の捜索に協力する。

林氏は、タロコ渓谷は複雑な地形で通信が非常に困難なため、ドローンを使用してテストを行ったものの、救助活動に投入することはできなかったと指摘。トルコにはドローンの使用に関する経験と専門的な技術があるため、今後の救助活動がより順調に進むことを期待していると表明した。

台湾は23年2月に発生したトルコ・シリア大地震の際に、現地に国際救助隊を派遣していた。

タロコ渓谷を管理する太魯閣国家公園管理処は3日、同公園内の歩道などを7日まで封鎖すると発表。6日には、地震で被害を受けた歩道や設備などについて、「現時点で修復に必要な期間は予想できない」との認識を示した。

太魯閣国家公園管理処は道路が寸断していること、余震が続いていることを挙げ、余震や道路と施設の修復状況を踏まえ、安全を確認した上で開放する時期を発表すると説明した。

消防署によると、同公園内にあるホテルや小学校で足止めを受けていた人のうち278人が7日午後2時45分までに現場を離れた。

■行政院が30項目の措置

行政院は5日、政府が実施する被災者への見舞金をはじめとする30項目の措置をまとめて発表した。

このうち地方自治体と衛生福利部(衛生省)からは、死者と行方不明者の家族に対する見舞金が1人当たり20万台湾元(約94万3,000円)、重傷者に対する見舞金が1人当たり5万元。衛生福利部の基金会からは死者と行方不明者の家族に対して1人当たり40万元、重傷者に対して1人当たり10万元がそれぞれ支払われるとした。

衛生福利部の基金会はこのほか、被災した住宅の建て替えや買い替えに20万~50万元を補助。内政部国土管理署は、住宅の買い替えや修繕に絡むローンの利息を一定額負担するなどとしている。

© 株式会社NNA