凜/清水建設フロンティア開発室宇宙開発部・藤井咲花さん、宇宙開発の伝統を未来へ

幼い頃から宇宙が好きで清水建設へ関心を持ったのも、同社が構想する「ルナリング」がきっかけだった。月面に太陽光発電所を建設し、地球に送電するという斬新な発想に驚かされた。大企業でありながら「柔軟なアイデアを受け入れてもらえる」という社風も感じ取り、2021年に入社した。
所属する宇宙開発部は事業の社内PRなどを担う。直近では、同社も出資した民間ロケット「カイロス」の打ち上げで、パブリックビューイングイベントの企画に携わった。社員の家族も楽しめるよう工作やクイズを用意。当日は多くの参加者でにぎわい「宇宙開発部の仕事を家族にも知ってもらえて良かった」と振り返る。
仕事の原動力は、1987年から続く宇宙開発事業の「歴史を途切れさせたくない」との思いだ。入社当初から宇宙開発を手掛けてきた先輩社員が定年を迎え始める中、「伝統を継ぐ最後のチャンス」と捉え使命感を燃やす。
今後の目標は「一緒に仕事や研究をしたいと言われるような得意分野を持つ」こと。現在、月面基地に関する研究の博士号取得に向け、休日に大学院へ通う生活を続ける。年内には米航空宇宙局(NASA)などへの留学も予定している。宇宙の魅力は「まだ正解がなく、知的好奇心を満たし続けられる」部分にある。さらなる知識の探究へ歩みは止めない。
(ふじい・えみか)

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