清水建設/トンネル避難坑拡幅区間2次覆工にPCL版適用、国内最大径

清水建設は熊本県阿蘇市で施工している滝室坂トンネル工事(発注・国土交通省九州地方整備局)の避難坑拡幅区間で、プレキャストコンクリート版(PCL版)を組み合わせて2次覆工を行う工法を採用し、大幅な工期短縮を実現した。中間ポンプ室を設けるために拡幅した73メートル区間の断面積は116平方メートル。PCL工法を使った2次覆工では国内最大径となり、5日にPCL版の設置を終えた。
工事名は「熊本57号滝室坂トンネル西新設(二期)工事」。大分県と熊本県を結ぶ延長約120キロの中九州横断道路の一部を形成する。トンネル延長4834メートルのうち、清水建設・東急建設・森工業JVが西側(坂梨工区)を担当し、本坑2679メートル(掘削断面積107平方メートル)と避難坑3069メートル(同19平方メートル)を2期に分けて構築する。
現在2期工事を進めており本坑、避難坑ともに貫通済みだ。延長が長く、西から東に向かって4%の上り勾配。スプリンクラーなどの設備に水を安定供給するため中間付近にポンプ室を設ける必要があり、避難坑の一部を拡幅掘削した。
移動式鋼製型枠(セントル)を使った通常の2次覆工も検討したが、限られた作業スペースの中で大断面対応セントルの搬入や組み立てが難しく、工程・安全上の課題をクリアするためPCL工法を採用した。
2分割した円弧状のPCL版の頂部を拝み合わせにするようにボルトで固定、一体化する作業を繰り返す。鉄筋が入ったPCL版は1ピースが周長10・6メートル、幅80センチ、厚さ15センチで重さは約3・4トン。バックホウを改良した専用機械を使い、20分程度で1ピースを設置する。
2月26日に設置工事に着手し、今月5日に計178ピースの設置を終えた。大断面対応のセントルを使って行う標準の2次覆工と比べ、高い耐荷性能を確保しながら施工期間を1・5カ月短縮した。

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