環境省/災害廃棄物対策を強化、KPIの数値目標引き上げ

環境省は、地震や水害など相次ぐ大規模災害を踏まえ、災害廃棄物対策を強化する。国土強靱化や資源循環など関連する政府計画で定めた重要業績指標(KPI)の数値目標を引き上げる。対策の実効性を高めるため、平時からの災害ごみの仮置き場候補地の選定や、地方自治体と民間事業者との協定締結に関する新たな指標も追加する方向だ。併せて、目標達成に向けた支援策も講じる。
5日に有識者会議のウェブ会合を開き、指標と数値目標の見直し案を示した。
同案によると、現行のKPIでは、自治体が作る「災害廃棄物処理計画」で市町村の策定率を2025年度に85%とする目標を描くが、22年度時点で80%に達している。このため目標年次を30年度に変更し、策定率目標を100%に引き上げる。環境省は計画が未策定の自治体のうち、日本海溝・千島海溝周辺型地震の被災が想定され財政基盤が弱い町村に対し、補助金で策定を後押ししている。
災害廃棄物に関する教育・訓練の実施率の25年度目標は、都道府県が80%(22年度実績98%)、市町村が60%(27%)。いずれも30年度目標を設定。都道府県は目標達成が見込まれるため100%とするが、市町村はノウハウ不足などの課題があるため、目標値を据え置き同年度も60%とする。
災害ごみを処理する仮置き場について、市町村の候補地選定率を指標に追加する。30年度に100%(64%)の達成を目指す。地震だけでなく水害による廃棄物の発生も大きな課題になっている。災害廃棄物処理計画で、降雨や洪水による水害を想定している市町村の割合を30年度に60%(31%)としたい考えだ。
発災後スムーズに処理を進めるため、市町村と民間事業者との処理に関する協定締結の目標も定める。市町村の締結率を30年度に80%(62%)とする目標を掲げる。

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