パレスチナ自治区ガザで行われているイスラエル軍とイスラム組織ハマスによる戦争は昨年10月7日から始まり、7日で半年となった。ガザ側の死者は3万3000人を超え、人道危機が悪化する中、バイデン米大統領は「即時停戦」を求め、イスラエルとハマスに合意への圧力を強めた。
ガザでは南部ハンユニスで激しい戦闘が続いていたが、イスラエル国防軍(IDF)は、6日から7日にかけての夜間に、イスラエル南部のベエリ地区からガザ南部の海岸までを横断する〝ネツァリム回廊〟を確保するための1個旅団だけ残しただけで、ガザ南部からすべての地上軍を撤収したと発表した。
イスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルによると、ガザ南部での攻撃は当初の計画どおりに行われ、2月に地元のハマス旅団は解体され、約30キロにおよぶトンネルが破壊されたという。米国などの外圧による撤退ではなく、戦争は計画どおりに進んでいるというわけだ。
軍事事情通は「もうガザ南部で諜報活動と戦闘を行うためにとどまる必要がなくなったということです。IDFが地上軍を撤退させた数時間後、ハンユニスからイスラエル国境近くにロケット弾が発射されましたが、被害はゼロ。今後はこれまでに得た情報に基づいて、ハマスに対してピンポイントで〝襲撃〟を行うようです」と指摘する。
イスラエル軍の撤退により、ガザ最南端のラファに避難した約100万人以上のパレスチナ人はガザ南部に戻ることができるという。
一方、昨年10月7日にハマスが襲撃でさらったイスラエル人などの100人以上の人質はどうなっているのか。
「ハマスのガザ地区の指導者ヤヒヤ・シンワール氏が人質を人間の盾として利用しており、イスラエルが同氏を殺害することはほぼ不可能と考えられています」(同)
現在もハマスの4大隊がガザ最南端のラファに残り、別の2大隊がガザ地区の中央部に残っているという。今後、戦争の舞台はラファになりそうだ。