【阪神】岡田監督が今年2回目の「取材シャットアウト」 上昇ムードの中で沈黙貫く〝背景〟

3連戦勝ち越しも、胸中を語らず引き揚げた阪神・岡田監督

【取材の裏側 現場ノート】阪神は先週末のヤクルト3連戦(神宮)を2勝1敗で勝ち越すことに成功。投打の歯車が徐々にかみ合いだしてきた昨季の日本一チームからは、いよいよ本格的な上昇ムードが漂い始めてきた。

僅差の試合ばかりが続いた3日間は、両軍ともに中継ぎ陣のフル回転を余儀なくされた。ブルペン稼働状態を頭に入れながら、岡田彰布監督(66)はどのような「勝利への逆算」を思い描いていたのだろうか。現在のチーム状態をどのように捉えているのだろうか。聞きたいことは山ほどあった。

その岡田監督は5日から、報道陣からの取材をシャットアウトしている。球団関係者の説明を要約すると、以下の通りとなる。

「4日のDeNA戦(京セラ)後の監督取材の結果、自身の真意とは異なる言説がさまざまな媒体に掲載された。当分の間、取材対応はしない」

歯に衣着せぬ物言いで知られる「岡田語録」だが、現役選手&指導者として四半世紀近くタテジマを着続けてきた岡田監督は、西の老舗人気球団である阪神の特異性を深く理解している。現場のトップである自身の言葉がどれだけ広がり、多くの人に影響を及ぼすのか。百戦錬磨の策士にとっては、それもまた有効な武器なのだろう。

第1次政権時ほどではなくなってきたとは聞くが、それでも「選手個々とは一定の距離を置く」というスタンスは基本的に変わらない。伝えるべき言葉はコーチ陣に預けるか、メディアを使って発信する。時には伸び悩む若手選手を紙面を通して叱咤することもあるし、奮闘や貢献、成長が見逃されていた選手を名指しで称賛し、深い信頼の意を示すこともある。

ライバルチームへの言及に関しては、けん制だけではなく〝陽動〟の意も含まれているのではないかと感じることすらある。常に先々の展開を読みながら動く岡田監督が将棋を指すのは、何もベンチの中だけに限った話ではない。

自身の真意とは異なるメッセージがメディアから発信されれば、自軍のナインは動揺してしまうかもしれない。結果として敵チームを利してしまうことになるかもしれない。岡田監督が今年2度目の取材拒否という強硬手段に出た背景には、このような考えがあるのではないだろうか。(阪神担当・雨宮弘昌)

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