児童・生徒の暴力行為が過去最多、広島市立小中高で2022年度1969件 軽微な案件把握進む一方でコロナ禍も影響か

 広島市立小中学と高校で、児童・生徒による暴力行為が増えている。2022年度の発生件数は1969件で過去最多。13年度の3・3倍になった。市教委は、軽微な事案の把握が進んだのが主な要因としつつ、新型コロナウイルス禍で子どもたちが対人関係に苦労した影響もあるとみている。

 22年度の学校別の内訳は小学1371件、中学591件、高校7件。小学は13年度と比べ9・7倍となった。内容別では、児童・生徒間の暴力が最多の1470件で7割超を占めた。ほかは教員への暴力261件、学校の備品など器物損壊224件、その他の人への暴力14件だった。いずれも把握時に指導するなどの対応をしたという。

 暴力行為は17年度までは300~700件台だった。同年に佐伯区の中学3年の生徒がいじめを主な原因として自ら命を絶った問題を受け、市教委はいじめを把握する対策を強化した。いじめとともに報告されるケースもある暴力行為は18年度に初めて千件を超えた。

 市教委は増加の要因について、校長会などを通じ、軽微な事案でも指導につなげるよう呼びかけてきた点を挙げる。さらに、新型コロナ禍に伴う行事の中止やマスク着用で「対人関係のつくり方を学ぶ時期に、相手の気持ちや表情を読み取る経験が少なかった影響もあるだろう」と見立てる。

 市教委は、生活をより良くするという英文の頭文字を取った「MLB教育」を23年度に初めて全小中学に導入。教員とスクールカウンセラーがSOSの出し方を子どもたちに指導した。24年度からは全高校に広げる。

 一方、いじめは22年度に3923件を認知。近年は4千件前後で推移する。生徒指導課は「教員が事案を見逃さず、子どもが声を上げられる仕組みを作りたい」としている。

広島市教委

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