アメリカ戦の前半はサンドバック状態だったなでしこジャパン。目を覆いたくなった熊谷と南のパスミス【コラム】

[SheBelieves Cup]日本女子 1-2 アメリカ女子/4月6日/メルセデス・ベンツ・スタジアム

清家の先制パンチは文句なしだった。ドリブルのコース取りも、シュートの質もパーフェクトで「ブラボー!」のひと言だった。しかし、チームとして試合を振り返ると、1-2というスコア以上の実力差を見せつけられた印象だった。

とりわけ酷かったのは、4-3-3システムで臨んだ前半の戦いぶり。FW、MF、DFで3ラインを敷くような形で守っていたなでしこジャパンだったが、その守備網もアメリカの個の力で簡単に引き裂かれ、防戦一方の展開だった。

システム、戦術云々ではなく、個と個の戦いで明らかに劣勢になるシーンが多く、いわばサンドバック状態だった。GK山下や守屋のファインプレーがなければ、あるいは前半のうちに大差をつけられていたかもしれない(実際前半は1-1だった)。

アンカーに起用された成長株の谷川もアメリカが相手では自分のペースに持ち込めず、むしろ劣勢になり易々と中央突破を許す場面もあった。

3-4-2-1にシステム変更した後半は若干安定したが、それでも押し込まれる時間帯が多く、結局は77分に献上したPKで逆転ゴールを許した。なすすべなし、これが正直な感想だ。

目を覆いたくなったのは、CBの南と熊谷のパスミス。前者は前半にそのミスで相手にコーナーキックを与え、後者はGKへのバックパスミスであわや失点かというピンチを招いた。絶対に失敗してはいけない局面でのミス。いずれも失点に繋がらなかったが、足もとの技術の不安定さを露呈したのは紛れもない事実だ。

パリ五輪、このふたりが敵のプレッシングの餌食にならなければいいが…。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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