中江岩戸神楽、力強く舞う 熊本・阿蘇市波野で定期公演始まる

力強い舞を披露する中江岩戸神楽の保存会員たち=7日、阿蘇市
力強い舞を披露する中江岩戸神楽の保存会員たち=7日、阿蘇市

 熊本県阿蘇市波野に伝わる中江岩戸神楽の2024年度の定期公演が7日、中江神楽殿(同市)で始まった。華やかな衣装を身にまとった保存会員による力強い舞が、訪れた約150人の観客らを魅了した。

 中江岩戸神楽は国の選択無形民俗文化財で、五穀豊穣[ほうじょう]などを祈る全33座の舞がある。舞の一部が途絶えていた時期もあったが、3月末に亡くなった元熊本県立劇場館長の鈴木健二さんの尽力もあり、30年ほど前に全座が復元された。

 公演前に保存会員や観客が、鈴木さんの功績をしのび黙とう。保存会の若手でつくるユニット「神楽男子」のメンバーらが、神楽の無事を祈る「五方礼始[ごほうれいし]」や天照大神[あまてらすおおみかみ]が隠れた天の岩戸を開く「岩戸開[いわとびらき]」など4座を披露した。

 大分市から訪れた男性(85)は「若者の勢いある神楽が見られるのは九州では波野くらい。良い写真を狙いたい」と話した。

 定期公演は観覧無料で10月を除き、11月まで毎月第1日曜に開かれる。(小田喜一)

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