企業と連携、農村地域の活力向上 県の本年度事業、RMO形成も推進

 県は本年度、農村地域の活性化を目指し、「やまがた未来(みら)くる農村イノベーション事業」を展開する。地域課題の解決に向けて首都圏などの民間企業との連携を促すほか、地元住民や自治会などが一体となった農村型地域運営組織(農村RMO)の形成を進める。地域コミュニティーの維持・強化を図り農村集落の持続可能な発展につなげる。

 農山村では、高齢化や働く場の減少で若者の流出が続き、集落機能の低下が危惧されている。農林水産省によると、集落の総戸数が9戸以下になると、農地保全などの実施率が急激に低下する傾向にある。

 担い手の減少が続く農村地域の活性化を図るため、民間企業の力を活用する。企業とのマッチングの場を設け、地域外からアイデアを取り入れる仕組みづくりを進める。地域資源を生かした新商品の開発や観光誘客といった取り組みを支援し、地域の「稼ぐ力」の向上を後押しする。

 農村RMOは、過疎化が著しい中山間地などで複数の集落の住民や自治会、農業法人が連携し、農地保全などに取り組む組織。農水省が農村振興の一環で推進しており、県ではコミュニティーセンター単位での組織運営を想定している。

 組織の形成に向け、農用地保全や地域資源の活用、生活支援の方針をまとめた「将来ビジョン」の策定を援助する。ビジョンの策定や課題の洗い出しに必要となる各種調査の経費支援として、3年間を上限に、地域協議会などに年間最大1千万円を助成する。対象とする地域は募集ではなく、県で選定する方針だ。

 県農村計画課は「人が少なくなった農村地域では『何とかしたい』と思ってもできることに限りがある。民間企業などと連携して地域との相乗効果を生み出したい」と話している。

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