LIXIL、便器を自ら掃除するタンクレストイレ「SATIS X」を発売

INAXタンクレストイレ「SATIS X」を2024年6月3日より発売する。3方向から強力な水流を出す「極みトリプル水流」と、1日1回の「泡クリーン」で家事ストレスを低減する。

INAXブランドの新たなフラグシップとしてトイレが自ら掃除を行う「SATIS X」(サティス エックス)を発表した。同社は、汚れを落としやすくした衛生陶器「アクアセラミック」の開発や汚れを拭き取りやすい構造の採用などで、トイレの清掃性を高めてきた。しかしながら、これまでの機能は人がトイレ掃除をする上での補助に過ぎなかった。そうしたなか、タイムパフォーマンス重視の時代における新たな提案として打ち出したのが「SATIS X」だ。水の力と泡の力で見える汚れと見えない汚れの両方を掃除する。

INAX ブランドの新たなフラグシップ「SATIS X」と大西博之執行役専務(左)、水谷優孝常務役員トイレ空間事業部長(中央)、トイレ空間事業部トイレ空間商品部・田中伸幸部長(右)

目に見える汚れを落とす新機能が3方向からの強力な水流で便器を洗浄する「極みトリプル水流」。これまでの1方向から渦巻き状に水が流れる洗浄では、水流にムラがあり場所によっては十分な洗浄ができていないという課題があった。これに対し、右、左、中央の3つに吐水口を設け順番に水を流すことで、最大限に水流の強さを維持したまま広範囲を洗浄できるようにした。また、吐水口の形状を楕円形にすることで、ホースの先を押しつぶして水を出すときのような薄く、広く、強い水流を実現した。さらに便器の形状も見直した。節水志向の高まりから水を一度溜めて吸い込む段差のある便器が一般化していたが、今回は段差をなくし、強い水流がそのまま便器全体に行きわたるようにした。1度の洗浄で使用する水の量はおよそ6L。これまでの「SATIS」シリーズの5Lからは少々水量が増えるが、グリーン購入法では、6.5L以下のものが節水形とされており、その基準は十分に満たしている。

一方で、微生物などの目に見えない汚れには1日1回の自動洗浄「泡クリーン」が活躍する。あらかじめ設定した時間に便器の鉢いっぱいに泡を発生させ、撹拌して泡の範囲を広げる。その後、3時間漬け置きして洗い流す。

そのほか、従来の2倍の強さでノズルを洗浄する「ノズルオートクリーニング(パワフル)」、上部から滝のように水を流してノズルシャッターを洗浄する「シャッタークリーニング」といった機能も搭載した。価格は49万7000円~。今年6月より販売を開始する。

海外でも注目度が高まるシャワートイレ

今後の方針として、海外でのシャワートイレ事業へも力を入れていきたいとした。既に子会社のアメリカンスタンダード社や関連会社のグローエ社に独自の販売チャネルを持って事業を展開しているが、近年、特に中国でシャワートイレ市場の成長が顕著であると期待を寄せる。「日本ではトイレ全体の売上規模の半分程度がシャワートイレであり比較的市場が成熟しているが、中国のシャワートイレ市場は現在500以上のブランドが参入していて今後日本の市場規模を超えるポテンシャルがある」(大西博之執行役専務)と、年平均約20%の成長率で市場拡大を続けている同国において、22年に江蘇省 蘇州市にシャワートイレの新工場を設立し、開発組織を配置、体制を強化している。

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