猫女将「まいちゃん」来年2月22日引退 天童・あづま荘、癒やし与え11年

社長の高橋和也さんに抱かれる猫女将「まいちゃん」=天童市・あづま荘

 天童市の旅館・あづま荘(高橋和也社長)の「猫女将」として親しまれている猫「まいちゃん」が、来年2月22日で引退することになった。11年間にわたり宿泊客らに癒やしを与えてきたが、今年3月で14歳を迎え、人間の70代に相当する晩年期に差しかかった。「毎日忙しく働いてもらってきたが、最後ぐらいは普通の猫として、ゆっくりと過ごさせたい」。高橋社長は決断と感謝の思いを語った。

 まいちゃんはキジトラと胸前の白い毛並みが自慢のメス猫で、2010年に市内の舞鶴山山頂で高橋社長が保護した。一緒に連れ帰った妹のぷぅちゃんとは違い、物おじしない性格だったことから、13年に猫女将の役割を担ってもらった。

 高橋社長の母で女将のゆき江さん(70)の自宅から午前9時ごろにあづま荘に来て、宿泊客にかわいがられるなど多忙な日々を過ごした。まいちゃん目当てで県内外や台湾、タイなどからも多くの宿泊客が訪れるようになり、同旅館の招き猫となった。

 18年には楽天トラベルが主催する「全国の宿 自慢の看板猫ランキング」で堂々の第1位に輝き、広くその名を知らしめた。しかし高齢になったこともあり、最近は午後6時以降の2時間ほどの「時短勤務」とし、負担を軽くしていた。

 あづま荘はSNS(交流サイト)を通じてまいちゃんの引退を発表した。ファンからは「残念だけど仕方ない」「引退前に会いに行く」などの声が寄せられているという。

 高橋社長は「新型コロナウイルス禍など厳しい時期を共に乗り越え、今のあづま荘があるのはまいちゃんのおかげ。ファンの皆さんへの感謝の気持ちを込め、引退に向けてイベントも検討していきたい」と話している。

 まいちゃんが引退する2月22日は、猫の鳴き声を「ニャン(2)、ニャン(2)、ニャン(2)」と読む語呂合わせから、「猫の日」とされている。

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